・・・信じて待っていてくれてありがとう
家を出てから10年が経ったころ。
大学は出たけれど定職にもつかず
ブラブラし続けて6年が経っていた。
そんな自分を、今の会社が拾ってくれた。
ようやく、食べ物にも困らない、
人並みの生活ができるようになった。
盆も正月も帰省していないけれど、
就職したことを伝えるため、家に帰った。
少し老いた両親の反応は意外とあっさりしていた。
「からだには気をつけて」
と母。
「まあ、がんばれよ」
と父。
「それだけ?」
口をついて出た。
「大丈夫だと思ってたから」
そして、手渡されたきちんとファイル。
「これからは自分で払えよ」
・・・信じて待っていてくれてありがとう。