だからあの時 母は不安を感じていなかったのだ
「お母さんが事故にあった」
小学生だった私は耳を疑った。
(これからどうすればいいのか?)
子供心に不安に思った。
奇跡的に無事だった母は、
家に帰ってきたとき笑っていた。
「心配したのに!」
私は怒った。
何年かして、今度は私が事故を起こした。
真っ先に母に電話すると、まず私の無事を喜んでくれた。
そして、きちんとファイルを教えてくれた。
保険に入って、きちんと整理してある。
だからあの時も、事故にあったのに
不安は感じていなかったのだと、母は言った。
今度はそこに私自身の保険も加えなきゃ。