江戸っ子の母らしい ぶっきらぼうな優しさ

江戸っ子の母らしい ぶっきらぼうな優しさ

江戸っ子の母らしい ぶっきらぼうな優しさ

結婚を機に、愛知へ移った私。

数年前に父を亡くし、母は一人で暮らしている。
「愛知へ来て欲しい」と再三言う私たちに

「一人暮らしは楽しいよ。
友達もたくさんいるし、東京が一番いい」

母のお決まりの返事。
時々なんとも切ない気分になる。

来年1月に77歳になる母。
早めの喜寿のお祝いで、先月小豆島へ夫と3人で出かけた。

楽しい旅行、きれいな景色と土地のグルメを満喫し、
最終日にフェリーから降りて、岡山駅へ向かう車中。

「私が死んだらさ、500万円は保障でおりるから、
小遣いにしなさいね」

唐突に言う母。
江戸っ子の母らしい何てことない事のような、
ぶっきらぼうな言い方だ。

今度東京へ行ったら、きちんとファイルにまとめてもらおうよ!
予約しておくね!

と母の気持ちに応えるようなるべく軽やかに返した。

「今はそんな便利なものがあるんだね」

と母が笑顔になった。




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