お調子者だったアイツが いつの間に・・・
小さい頃からいつも一緒だった。
水泳もサッカーも勉強も「こいつには負けない」
と思って頑張った。
高校生になってお互いに彼女ができたときは、
夜通し自慢しあった。
大学に行って、住む所が離れてからも定期的に会って、
酒を飲みながら色んな話をした。
おととしの結婚式のときは終始泣いてしまって、あまり覚えていないけど、
少し恥ずかしそうな、でも立派な姿は目に焼きついている。
子どもが産まれて少し経って新居に遊びに行った。
昔はあんなに散らかってた部屋も、きれい好きな奥さんの影響で、
きれいに整理整頓されている。
赤ちゃんを抱っこさせてもらっているときに、
ふと気がついたオレンジ色のファイル。
「これなに?」
「・・・俺もパパになったからさ」
中には奥さんと子どもの名前が書かれている保険の一覧。
いつもバカ話ばかりでお調子者だったアイツが、いつの間に・・・。
「大切なものが増えたからさ、ちゃんとしないとな。
お前も早く良い人見つけろよな」
「娘さんをください」
「ダメ。・・・またな」
一歩先を越された気がして悔しいけど、うらやましい。
俺も、早くいい人見つけなきゃな。