父と母の娘で本当に良かった
いつも夜遅くまで働いていた父。
定年を迎え、やっと家族と一緒に夕食をとるようになった。
そんな穏やかな日々がずっと続くと思っていた時、
突然母が倒れた。
母が入院して一週間が過ぎた頃、
入院以来ずっと付きっきりで看病している父に、
一冊のオレンジ色のファイルを届けた。
「お父さん、これお母さんがもしものときに、
お父さんに渡して欲しいって、ずっと預かってたの」
中を開けたとき、父は涙を流した。
そこには、父や私のために、母が加入していた保険の数々。
母が退院したあと、父と母はファイルを前に、
ほほえましく話していた。
それを見た私は、父と母の娘で本当に良かったと、
少し幸せな気分になった。