そのとき家族を救ってくれたもの
結婚を機に家を出た。
家を離れる当日、母は朝から泣いていた。
いつまでもその場に立ちつくして泣いていた。
泣いている母の姿が車のバックミラーに映り、
少し後ろ髪を引かれる思いがした。
いつもいつも自分のことは二の次で私たち兄弟の心配ばかりしていた母。
父親の定年退職を機に東北地方で暮らし始めた両親。
あの東日本大震災で被災したが元気に暮らしていた。
ところがある日、弟から母が倒れたと慌てた様子で電話が入った。
「とにかく来てくれ!!」
田舎へ向かう途中、4時間ほどかかる距離に腹が立った。
ようやく到着した実家には弟が待機しており病院に。
手術室から戻り、母が目覚めるのを待っていた。
母が目覚めるのとほぼ同時に父が慌ててやってきた。
父が手にしていたものは「きちんとファイル」だった。
「今回の件で父さんも気が動転しちゃってな。
ここへ来る前に電話して聞いてきたんだけど、
全部手続等手伝ってくれるって。
何か分からないことがあったら相談してくれって。
ありがたいな・・・」
それから3週間後、母も無事退院した。
今回の件でお世話になった保険ほっとラインの担当者さんのところに
お礼に行った。
「何かあったらいつでもお気軽にご相談くださいね」
本当にありがたかった。