ちゃんと言ってくれないとわからないよ・・・

ちゃんと言ってくれないとわからないよ・・・

ちゃんと言ってくれないとわからないよ・・・

妻と息子の会話。

「パパ、きらい。」

「何できらいなの?」

「だっていつも仕事で、全然遊んでくれないもん。」

「そんなことないよ。パパはあなたのこと大好きよ。」

30年前に私が母に言ったセリフとおなじことを、
息子に言われた。

 

私は父が苦手だった。
仕事で休みの日は合わないし、試合があっても来ない。
父と接する機会はあまりに少なかった。

10年以上前に母が亡くなってからは、
さらに実家とは疎遠になっていた。

10年ぶりくらいに妹から連絡があった。
父が急逝したとのことだった。

あまり実感のないままに葬儀が終わり、
実家で遺品を整理していると、

叔母からオレンジ色のファイルを渡された。
受取人は私と妹。
その中には家族の写真とメッセージ。

「ふたりとも、ごめんな。
父さんはあまり良い父親ではなかったかもしれない。
だけど、お前たちのことはいつだって大切に思ってた。
・・・これをもう少し早くお前たちに伝えておきたかったな。」

私が知らなかった父の私たちへの想い。
何やってんだろ俺・・・。
でも、ちゃんと言ってくれないとわからないよ・・・。

 

数ヵ月後のある日曜日。
私は妻と野球場にいた。

「パパ、今日の僕のヒットすごかったでしょ?」

嬉しそうな息子。

「ああ、凄かったよ。さすがだ!お前はパパの宝物だよ!」

父が私に伝えられなかった想い。
私は息子に伝えるようにしていこう。

父さん、最期に教えてくれてありがとう。




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