たとえ独り身でも 守るべき人はいるんじゃないか

たとえ独り身でも 守るべき人はいるんじゃないか

たとえ独り身でも 守るべき人はいるんじゃないか

私はタンス預金していたお金をすべて保険にいれた。

38歳男性。バツイチ、独身。
銀行にある貯金も多くはない。

子どもは来年高校生になるが、
妻と別れたあと、十数年会っていない。

正直、一生「独り者」なので、
誰かに残す保険はいらないと思っていた。

ある日、保険の相談に行ったお店の店員さんから
オレンジ色のファイルを受け取った。
そこには、私が加入しているがん保険だけの記載があった。

そのとき、母のことを思い出した。
父は、数年前にがんで他界し、今は実家で一人暮らし。

母は私にオレンジ色のファイルを見せてくれた。
そこには、受取人に私と弟の名前が書かれていた。

「葬式代よ。安心でしょ?」
母は笑顔で言った。

・・・数週間後。
新しいファイルを2冊、担当の方が届けてくれた。

ファイルには、新しく入ったものが追加されていた。
受取人の欄には、いろいろ迷ったが弟の名前を記載している。

そしてファイルを一枚、弟へ送った。

弟から連絡があったら、とりあえずこう言おうと思う。
「俺になにかあったら、母さんをよろしくな。」




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