父さん もっと話しておけばよかった
18のとき、嫌いだった父が他界。
今思えば、悲しかったのかどうかさえ、覚えていない。
数年前、父は母と離婚してすぐに再婚。
知らない女の人をそう簡単に母とは呼べなかった。
いっそこのまま、家を飛び出したい。
そう思ったが、18の僕にはあまりにも高すぎる壁だった。
途方にくれるとはこういうことかと思っていたところ、
懐かしい人が会いにきてくれた。
・・・実の母だった。
「お父さんの気持ちを渡しておきたくてね。」
とオレンジ色のファイルを渡してくれた。
そこに書かれていたのは、確かに私の名前。
母は私が小さいころから今までの父の想いを伝えてくれた。
父さん・・・。もっと話しておけば良かった。
僕が父となった今、
そのオレンジ色のファイルで、今度は僕が家族を見守ろう。