あなたの事はいつだって大事に想っていたのよ
母の四十九日が終わり、
父からオレンジ色のファイルを渡された。
開けてみると母の生命保険。
受取人は私だった。
父は続けて私に言った。
「お医者さんに余命を告げられた時、お母さんがどうしても
受取人をお前にしておきたいと言って聞かなかったんだ」
私は頭が真っ白になった。
母とはいつもささいなことでケンカばかりしていた。
反発して家も飛び出した。
愛されていないって思ったこともあった。
でも何で私に・・・。
父は続けてこう言った。
「お母さんは、いつもお前のことを気にしていたんだぞ。」
・・・涙が止まらなかった。
お母さん、ごめんなさい・・・。
あれから20年・・・。
子どもとはささいなことでケンカばかり・・・。
でもいつか、母が私にしてくれたように、
私も子どもにオレンジ色のファイルを残してあげたい。