・・・大人になってもかわらない 母のぬくもり
私はどちらかというと、体は丈夫なほうだ。
結婚して半年の月日がたった頃の出来事である。
朝、目覚めるとあまりの腹痛に起き上がれず、
心配する妻に連れられ、近くの病院へ。
盲腸だった。
生まれて初めての入院。
押し寄せる不安と、ほんの少しのワクワク感もあった。
その日、離れたところに住んでいる
母がすぐにお見舞いに来てくれた。
・・・ただの盲腸なのに。
そしてまた次の日も。
・・・ただの盲腸なのに。
退院してから数日が経ち、母が私の家を訪ねてきた。
「入院給付金、あなたの口座に振り込んどいたから。」
・・・私は保険なんてかけていなかったのに。
「ついでに私たちの分も渡しておくね。」
オレンジ色のファイルを渡された。
この日、親のありがたさに少しだけ触れた気がした。