父が私たちを守ってくれていたように これからは私が母を守っていこう
私の大学の卒業式。
母から一冊のファイルを渡された。
見慣れないファイルだった。
私は3人兄妹の長男で、3人とも大学まで行かせてもらっているが、
実は2年前、20歳のときに父を病気で亡くしている。
がんだった。
病気がわかったのは、私が中学生の頃で、
父を心配する気持ちに加え、
家族の生活費や高校進学などの将来への不安があった。
しかし私の不安をよそに、私たち3人は高校に通い、
大学まで進学できた。
理由は母には聞けなかった。
「きちんとファイル」と書いてあるそのファイルを開けると、
たくさんの保険が記されてあった。
亡くなった父が、加入していたものだった。
兄妹3人が不自由なく、大学まで進めた理由がわかった。
私はこの時心に決めた。
父が私たちを守ってくれていたように、
これからは私が母を守っていこうと。
そんな私が大学を卒業して、
就いた職業は保険に関する仕事だった。
・・・運命を感じた。