「わかってるよ・・・」 いつも聞き流す私
「きちんとしなさいよ!」
それが母の口ぐせだ。
「わかってるよ・・・。」といつも聞き流す私。
母子家庭ということもあって、昔から過保護なのだ。
しばらくして、
そんな母がガンにかかっていることがわかった。
必死の闘病の末、ようやく落ち着いたある日。
病院帰りの母が見慣れない2冊のファイルを持って帰ってきた。
「きちんとファイル」と大きく書かれたそれを開くと、
一冊には受取人に私の名前が並んだ母の生命保険。
もう一冊は、私の名前が書かれた真っ白なファイルだった。
「きちんとしなさいよ・・・。」
・・・母の言葉が胸に刺さった。