田舎の父と母 僕はもうあと 何回逢えるのだろう
東北で初雪が降ったと、今朝の天気予報で聞いて、
久しぶりに東北の田舎に住む両親に電話してみた。
「初雪だって?風邪、ひいてない?」
私の心配をよそに、電話口の母がこう返す。
「そんな事より、お正月はどうするの?帰ってこられるの?」
そういえば夏休みも帰省しなかったなぁ・・・。と思い、
翌週思い切って、少し早い里帰りをすることにした。
空港まで迎えに来てくれたのは、実家の近くに嫁いだ姉だった。
いつもなにかと、両親の面倒を見てくれる姉。
「お父さんがね、連休のたびにあんたのこと、
また帰って来ないのか?って言ってがっかりしてたよ。
お父さんもお母さんも元気なうちに、なるべく顔を出しなさい。
もう何回逢えるか、わからないんだから。」
言いながら、ダッシュボードからオレンジ色のファイルを取り出した。
「これ、あんたも持ってて。」
ファイルにはきちんとファイルと書かれている。
中を開くと、両親の保険のことがまとめてあった。
「前、お母さんが入院した時にね、何かあったらお姉ちゃんお願いねって
渡されたんだけど、あんたにも共有しておきたくて。」
なるべく考えないようにしていたことが、現実味を帯びてくる。
「お父さんの生命保険、ひとつだけ受取人がお母さんじゃなくて
あんたになってるの、わかる?」
(ほんとだ・・・。)
「いつも近くにいて、小言言われながら動くのは私なのに、
結局お父さんはあんたのことも、気にかけてるんだよ。」