父さんあんなことばかり言ってるけど 本当はずっと応援してたのよ
今まで仕事ばかりしていた私が、結婚することを決めた。
男性の中に混ざり、女性だからと言われたくないと、
仕事につっぱってきた私。
そんな私と父は不仲だ。
「女はスカートとヒールをはき、普通に仕事して、
普通に結婚すればいいんだ。」
毎日のように、父は言う。
結婚後も仕事は続けるという私に、父は激怒した。
いつもの繰り返し。
嫁に出るというのに、私と父の仲はあいかわらずだ。
結婚式前夜。
母が私に、一冊のファイルを手渡した。
表紙には「きちんとファイル」。
中には、私の名前が。
「父さんあんなことばかり言ってるけど、本当はずっと応援してたのよ。
あいつ俺に似て、すぐに無理するからって言って。
このファイルを大事にしていたの。
この父さんの気持ち一緒に連れて行ってあげてね。」
父が私のために、こんなことをしてくれているなんて知らなかった。
結婚式当日・・・。
「お父さん、ありがとう。母さんから受け取ったよ。
仕事もだけど、彼のことを支えられるように頑張るから。」
そう言うと、父は静かにうなずいた。