俺もいつまでも元気って訳にもいかないしな 何かあったときは 母さんを頼むぞ
今日は父の還暦のお祝い。
妻と息子を連れて、久しぶりに実家に帰った。
あいかわらず亭主関白の父。
そんな父を献身的に支える母。
昔からよく目にした光景である。
父も今年で定年を迎える。
突然、父に声をかけられた。
「母さん、最近病気がちでな・・・。」
父がおもむろにかばんからオレンジ色のファイルを取り出した。
きちんとファイルと書いてある。
「これ、お前も持っておいてくれないか。
俺もいつまでも元気って訳にもいかないしな。
何かあったときは、母さんを頼むぞ。」
「何これ?・・・」
開いたファイルには、父の想いが詰まっていた。