怖がることはないのよ これはね 私たちが生きている“証”なの
うちの家族は長生きの家系と、母はいつも言っていた。
祖母90歳、母60歳、私30歳。
30歳違いの長生き家族。
ずっと皆が元気で暮らせればどんなにいいんだろう?
そう祈る一方で、いつか終わってしまうのが怖かった。
ある日、母から一冊のオレンジ色のファイルをもらった。
その中には、父と母の名前の書いた保険の内容が書かれていた。
何なのか意味が分からず、
「何これ?お母さんたちの保険?」
おじいちゃんが亡くなってから、私は人の死がとても怖かったので、
急に涙が出てきて、受け取ることが出来なかった。
よく見てみると、母も同じものを持っている。
それは祖母の古い保険がいくつか、書かれていた。
「怖がることはないのよ。
これはね、私たちが生きている"証"なの。
こうやって、おばあちゃんから私に、私からあなたに、
生命が繋がっている証だから、縁起のいいものなの。」
そう言って母が手渡した。
涙が止まらなかった。
いつか私も、このファイルを渡す家族ができたとき、
この"きちんとファイル"で、あなたたちを守っているんだと伝えたい。