ベッドの上の父 変わらぬ母への想い
3ヶ月前のこと。お父さんが倒れた。
「しばらくお仕事に復帰されるのは無理ですね。」
つい昨日まで笑顔で元気にしていたお父さんが
ICUのベッドでいっぱいチューブがささって横になっている。
どこに行くのもお父さんとお母さんはいつも一緒で
近所の人からも、おしどり夫婦って言われていて
私も結婚するならお父さんみたいに優しい人って思っていた。
母と一緒に先生の話を聞いていたけど、
お母さんがどんな顔してるか見れなかった。
「お母さん、お父さんにずっとついていられるんでしょう?」
私が聞くと、母は言う。
「お父さんが仕事休むのに、私も休んだらどうなるの。
治療のお金もこれからの入院期間もわからないのに。」
その時以前、お父さんからもらった「きちんとファイル」を思い出した。
「もしお父さんに何かあったら、お母さんはきっとうろたえてしまうから、
お前にもっておいてもらおうと思って。」
慌てて家に帰ってそのファイルを開いてみる。
中を開いて見ると受取人にお母さんの名前が書いてある
父の想いがそのファイルからあふれてきたように思えた。
「お母さん。お父さんちゃんと考えてくれてたよ。
安心して仕事休んで横についててあげなよ。」
母はそのファイルを見て泣いていた。
私もこれから結婚する彼のためにこのファイルを作りたくなった。