不器用な父の家族への想いが伝わってきた
私が二十歳の頃。
大学で実家を離れて暮らしていた。
いつも電話なんてかけてこない弟から、突然の電話。
「兄ちゃん、お父さんが死んでしまった・・・。」
すぐには理解が出来なかった。
尋ねると母に電話を代わった。
「交通事故で・・・。すぐに帰ってきて!!」
すぐにバイクに飛び乗り、
涙で前がよく見えない中実家に帰った。
母は大切な人を亡くしたつらさで立てなかった。
母の代わりに、葬儀手配や喪主などを行なった。
四十九日も終わり、
父の遺品を整理していると、風呂敷に包まれたものが。
「きちんとファイル」
家族3人が集まり、中を見た。
すぐに何かは分かった。
母がぽつりと呟いた。
「お父さんありがとう・・・。」
不器用な父の家族への想いが伝わってきた。
今では、私たちの周りはみんな、
きちんとファイルを持っている。