「いつまでも子どもだと思っていたけど 立派な女性になったな」
結婚式前日、家族での食事の後、
私は父の部屋に呼ばれた。
「いつまでも子どもだと思っていたけど、
立派な女性になったな。」
父の涙を初めて見た。
「お父さん長い間ありがとう。」
一緒に涙した私に、
父が手渡したのは、
「きちんとファイル」だった。
「お父さんやお母さんのことは心配するな。
お前に迷惑をかけるつもりはないからな。」
「なんで私に?」
「お前は心配症だからな。」
(お父さんの病気のこと、私がお母さんと
心配していたのを知っていたんだ。)
体の悪い父が、母のことを「頼むぞ」って。
父に初めて頼られた私は、
笑顔でファイルを受け取った。