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保険ガイド『基礎知識』

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カテゴリ:基礎知識

公的年金保険について

基礎知識

国民年金と厚生年金の保険料について

国民年金保険料は、一律に定額を負担

自営業、専業主婦、学生の方など、一律の保険料14,980円(平成24年)を納めます。

  • 国から送られてくる納付書で納付する。
  • 銀行などの口座からの自動引き落とし可能。
  • 金融機関(インターネット含む)や一部のコンビニ、クレジットカードで納付可能。
  • 毎月の保険料は翌月の末日まで。
  • 前納すると割引があります。
  • 納付しないで2年が経つと、滞納期間となる。

国民年金には、保険料免除の制度があります

●対象者
【法定免除】
生活保護法の生活扶助を受けている人など
免除額:全額
※免除期間分は部分的に年金額に反映される
所得が一定額以下などで申請が認められた人
免除額:所得に応じて1/4、半額、3/4、全額の多段階
【申請免除】
所得が一定額以下などで申請が認められた人
追納:10年以内の免除分は遡って納付できる
※免除期間分は部分的に年金額に反映される
【学生の納付特例】
20歳以上の学生が所得要件を満たせば全額猶予される
【若年者納付猶予制度】
30歳未満で所得要件を満たせば全額猶予される

※どちらの猶予期間も年金額には免除には申請が必要

●期間
終身
●中途解約
いつでも解約可能です。解約返戻金がありますが、その額は経過期間や契約条件によって違ってきます。

厚生年金保険料は月給・賞与に比例

  • 月給(標準報酬月額、上限62万円)と賞与(標準賞与額、上限150万円)に8.206%(平成23年9月以降)をかけたのが、本人負担分の保険料。勤務先も同額を負担する。
  • 専業主婦は国民年金保険料の負担はなく、厚生年金全体で負担しています。但し、専業主婦でも、年収130万円以上なら14,980円(平成24年)を負担となります。
  • 本人負担分は月給と賞与から天引きされる。
  • サラリーマンに扶養される妻として、夫の勤務先経由で国民年金の第3号被保険者の該当届が必要。
  • やむをえない理由で過去に未届けの期間がある人は、年金事務所で手続きをすると、昭和61年4月までさかのぼって被保険者になれる。

厚生年金には、保険料免除の制度があります

●対象者
育児休業等をしている被保険者で、子供が3歳になるまで
(勤務先が申し出をする)
免除額:月給分・賞与分ともに全額。会社負担分も免除
追納:追納の必要なし
【養育期間中の従前標準報酬月額の保障】
3歳未満の子供を養育中の人は、勤務時間の短縮などで標準報酬月額が養育前よりも下がった場合、下がった額にもとづく保険料を負担するが、個人で年金事務所に申し出ることにより、年金額の計算上は養育前の標準報酬月額が保障される

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

国民年金の年金受給額について

※夫婦で国民年金に加入している場合

国民年金の年金額について

65歳になると、国民年金から老齢基礎年金が支給されます。

老齢基礎年金【早見表】年額(万円)
(A)=生年月日(昭和)15.4.2~16.4.1
(B)=生年月日(昭和)16.4.2以降

加入期間

40年 (A)= (B)=78.89
39年 (A)=78.89 (B)=76.92
38年 (A)=76.87 (B)=74.95
37年 (A)=74.84 (B)=72.97
36年 (A)=72.82 (B)=71.00
35年 (A)=70.80 (B)=69.03
34年 (A)=68.78 (B)=67.06
33年 (A)=66.75 (B)=65.08
32年 (A)=64.73 (B)=63.11
31年 (A)=62.71 (B)=61.14
30年 (A)=60.68 (B)=59.17
29年 (A)=58.66 (B)=57.20
28年 (A)=56.64 (B)=55.22
27年 (A)=54.62 (B)=53.25
26年 (A)=52.59 (B)=51.28
25年 (A)=50.57 (B)=49.31

※平成23年度価格

国民年金の任意加入

自営業者等の国民年金加入者は、国内に住む20歳以上60歳未満の人です。しかし次のような人なども国民年金に任意に加入することができます。

  • 日本国内に住む60歳以上65歳未満の人
  • 海外に住む20歳以上65歳未満の日本人

上記の人は、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない場合や、満たしていても満額の年金を受けられない場合に任意加入することができます。この他、昭和40年4月1日以前生まれで、老齢基礎年金の受給資格期間を満たしていない人は、65歳以上70歳未満の期間も任意加入することができます。毎月負担する保険料は14,980円(平成24年)で、手続きは加入するときもやめるときも市区町村役場に申し出て行うことができます。任意加入している人は、保険料免除制度はありません。

原則25年(300月)の加入期間が必要です。

加入期間の計算対象となるのは次の月数です。

  1. 国民年金、厚生年金、共済年金の加入期間
  2. 国民年金の保険料免除期間
  3. 任意加入できるのにしなかった60歳未満の期間など(カラ期間)
  4. 学生の納付特例・若年者納付猶予制度による免除期間

以上の期間を受給資格期間といいます。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

厚生年金の支給開始年齢と受給額

支給開始年齢について

昭和61年4月からの制度改正により会社員は65歳以降、老齢基礎年金と老齢厚生年金の支給が開始となりました。旧制度では60歳から厚生年金が支給されていたため経過措置として60歳~65歳になるまでは特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)を受け取ります。

平成13年4月から特別支給の老齢厚生年金の定額部分の支給開始年齢の引上げがスタートし、2年おきに1歳ずつ引上げが行われます。女性は5年遅れで実施されます。定額部分の支給開始年齢の引上げが完了すると、引き続いて、報酬比例部分の支給開始年齢の引上げが平成25年4月からスタートし、最終的には60歳~65歳になるまでの期間は年金が支給されないことになります。なお、60歳~65歳になるまでの希望する年齢から、減額された受給額を年金で受け取ることのできる繰上げ支給制度が導入されています。

<旧(平成13年3月以前)>

(男性)生年月日:昭和16年4月1日以前
(女性)生年月日:昭和21年4月1日以前
60歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金

<平成13年4月から定額部分の支給開始年齢の引き上げ>

(男性)生年月日:昭和16年4月2日~昭和18年4月1日
(女性)生年月日:昭和21年4月2日~昭和23年4月1日
60歳~61歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
61歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和18年4月2日~昭和20年4月1日
(女性)生年月日:昭和23年4月2日~昭和25年4月1日
60歳~62歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例分)
62歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和20年4月2日~昭和22年4月1日
(女性)生年月日:昭和25年4月2日~昭和27年4月1日
60歳~63歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
63歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和22年4月2日~昭和24年4月1日
(女性)生年月日:昭和27年4月2日~昭和29年4月1日
60歳~64歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
64歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和24年4月2日~昭和28年4月1日
(女性)生年月日:昭和29年4月2日~昭和33年4月1日
60歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金

<平成25年4月から、特別の老齢厚生年金(報酬比例部分)年金の支給開始年齢の引き上げ>

(男性)生年月日:昭和28年4月2日~昭和30年4月1日
(女性)生年月日:昭和33年4月2日~昭和35年4月1日
60歳~61歳 → なし
61歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
61歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和30年4月2日~昭和32年4月1日
(女性)生年月日:昭和35年4月2日~昭和37年4月1日
60歳~62歳 → なし
62歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和32年4月2日~昭和34年4月1日
(女性)生年月日:昭和37年4月2日~昭和39年4月1日
60歳~63歳 → なし
63歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和34年4月2日~昭和36年4月1日
(女性)生年月日:昭和39年4月2日~昭和41年4月1日
60歳~64歳 → なし
64歳~65歳 → 特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金
(男性)生年月日:昭和36年4月2日~
(女性)生年月日:昭和41年4月2日~
60歳~65歳 → なし
65歳~ → 老齢基礎年金、老齢厚生年金

厚生年金の年金受給額について

厚生年金の年金受給額は、生年月日と加入期間、平均月収額で決まります。

年金受給額=(1.報酬比例部分)+(2.定額部分)+(3.加給年金)

1.報酬比例部分
  • 在職中の平均月収(賞与を含む)と加入期間をもとに計算。
    月給・賞与の額、加入期間が同じでも生年月日で金額が違います。
  • 特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分に相当します。
  • 65歳からの老齢厚生年金に相当します。
2.定額部分
  • 厚生年金に加入していた期間をもとに計算。
    同じ加入期間でも、生年月日で金額が違います。
  • 65歳からの老齢基礎年金部分に相当します。
3.加給年金
  • 妻子がいる場合、一定要件を満たすと加給年金が加算されます。 老後の扶養家族手当のようなものです。
  • 妻が65歳になるまで、あるいは子供の18歳到達年度の末日(高校卒業)まで加算されます。

妻が65歳になるまで、あるいは子供の18歳到達年度の末日(高校卒業)まで加算されます。

  • 夫の生年月日:昭和9年4月1日以前
    加給年金額(年額):227,000円
  • 夫の生年月日:昭和9年4月2日~昭和15年4月1日
    加給年金額(年額):260,500円
  • 夫の生年月日:昭和15年4月2日~昭和16年4月1日
    加給年金額(年額):294,000円
  • 夫の生年月日:昭和16年4月2日~昭和17年4月1日 加給年金額(年額):327,600円
  • 夫の生年月日:昭和17年4月2日~昭和18年4月1日 加給年金額(年額):361,000円
  • 夫の生年月日:昭和18年4月2日以降
    加給年金額(年額):394,500円

※子供を対象として加算される加給年金額は、一律1人につき227,000円(1人目、2人目の子)、75,600円(3人目以降の子)となっています。
※妻が年金を受け取る場合にも、夫や子供を対象として、加給年金が加算される場合があります。

注意点

1.報酬比例部分について
総報酬制の導入により、老齢厚生年金(報酬比例部分)の計算は、導入前の加入期間と導入後の加入期間に分けて計算します。平成15年3月以前の分は、「平均標準報酬月額(平成15年3月以前の在職中の平均月給)」をもとに計算します。平成15年4月以後の分は、「平均標準報酬額(平成15年4月以後の在職中の賞与を含めた平均月収)」をもとに計算する。報酬比例部分で年金受給額の差がでます。
2.定額部分について
定額単価と加入月数をもとに計算します。加入月数には、生年月日によって、420~480月の上限があります。
3.加給年金について
厚生年金の加入期間が原則20年以上ある場合に加算されます。特別支給の老齢厚生年金だけ支給されている期間や、妻自身が原則20年以上会社動めをして老齢厚生年金を受けられる期間中などは加算されません。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

共済年金の支給開始年齢と受給額

(※2015年10月に共済年金は厚生年金に統合されました。ここに記載されている情報は2015年10月以前の情報です。)

共済年金の仕組み(3階建ての年金)

公務員、教員などは共済組合(制度)に加入し、老後は退職共済年金を受給します。

退職共済年金は、職域年金相当分が上乗せとなった3階建ての年金制度です。職域年金相当分は、共済年金独自の年金で、会社員が受け取る企業年金に相当するものともいえます。最も金額の多い人で厚生年金相当分の20%となります。

65歳からは老齢基礎年金と退職共済年金が支給されます。なお、支給開始年齢の引上げは、男女ともに厚生年金の男性の場合と同じです。しばらくの間、60歳からは厚生年金相当分と職域年金相当分か支給されます。

特別支給の退職共済年金
<60歳~64歳> 支給開始年齢は、生年月日により異なります。
●3階
  • 職域年金相当分(報酬比例部分)
  • 退職共済年金のうち職域年金相当分
    { 平均標準報酬月額 × 乗率A × H15.3以前の組合員期間の月数 + 平均標準報酬額 × 乗率B × H15.4以降の組合員期間の月数 }× 1.031 × 0.981
●2階
  • 厚生年金相当分(報酬比例部分)
  • 退職共済年金のうち厚生年金相当分
    { 平均標準報酬月額 × 乗率C × H15.3以前の組合員期間の月数 + 平均標準報酬額 × 乗率D × H15.4以降の組合員期間の月数 }× 1.031 × 0.981
●1階
  • 定額部分
  • 国民年金の老齢基礎年金
参考:共済年金の乗率(乗率A~乗率D)
1.職域年金相当分
  • 総報酬制導入前の期間分
    乗算(A)=生年月日により、0.5/1000~1.5/1000
  • 総報酬制導入後の期間分
    乗算(B)=生年月日により、0.385/1000~1.154/1000
2.厚生年金相当分
  • 総報酬制導入前の期間分
    乗算(C)=生年月日により、10/1000~7.5/1000
  • 総報酬制導入後の期間分
    乗算(D)=生年月日により、7.692/1000~5.769/1000
※年金額の5%適正化が適用されるまでの当面の乗率です。
※職域年金相当分の乗率は組合員期間が20年以上の場合です。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

夫婦の年金受取りについて

妻の厚生年金加入歴で夫婦の年金受取りパターンが違います。
一般的に女性は男性と比べると、厚生年金の加入期間が短かったり、専業主婦の場合は、カラ期間を持っていたりする場合も多くあります。

夫婦で受け取る年金のパターン

夫は、昭和22年度生まれの平均的なサラリーマンで厚生年金に20年以上加入。妻は、5歳年下の昭和27年度生まれで、夫により生計を維持されている。上記の場合について考えてみます。

妻が厚生年金に20年間以上加入していた世帯

(夫)

60歳から64歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
64歳から65歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)+加給年金
65歳からは、老齢厚生年金+老齢基礎年金

(妻)

60歳から64歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
64歳から65歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳からは、老齢基礎年金(+振替加算)+老齢厚生年金(夫死亡まで)

夫死亡後は、以下の3つのうち、最も年金額が大きくなる組み合わせで支給されます。

  1. 老齢基礎年金+老齢厚生年金
  2. 老齢基礎年金+遺族厚生年金
  3. 老齢基礎年金+老齢厚生年金の1/2+遺族厚生年金の2/3

・夫が20年以上厚生年金に加入していると、夫の年金に加給年金がつきますが、妻が厚生年金に20年以上加入し、妻本人の年金を受け取り始めると、夫の加給年金は支給停止となります。

妻が厚生年金に7年間加入し、結婚後は専業主婦となった世帯

(夫)

60歳から64歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
64歳から65歳まで、特別支給の老齢厚生年金+加給年金(妻が65歳までの間)
65歳からは、老齢厚生年金+老齢基礎年金+加給年金(妻が65歳まで)

(妻)

60歳から64歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
64歳から65歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分+定額部分)
65歳からは、老齢基礎年金(+振替加算)+老齢厚生年金

夫死亡後は、以下の4つのうち、最も年金額が大きくなる組み合わせで支給されます。

  1. 老齢基礎年金(+振替加算)+老齢厚生年金
  2. 老齢基礎年金(+振替加算)+遺族厚生年金
  3. 老齢基礎年金(+振替加算)+老齢厚生年金の1/2+老齢厚生年金の2/3
  4. 老齢基礎年金(+振替加算)+老齢厚生年金+(遺族厚生年金-老齢厚生年金)
  • 女性の厚生年金への加入年数は一般的に短く、7年間の例でみると以下のようになります。
  • 妻が60歳になると加入期間7年分で計算した特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)が支給され、特別支給の老齢厚生年金(定額部分)は64歳から支給されます。
  • 妻が65歳になると、老齢基礎年金、老齢厚生年金が支給されるが、夫の加給年金はなくなり、それにかわって妻に振替加算がつきます。振替加算の金額は、妻の年齢によって異なります。
  • 夫の死後、年金は、老齢基礎年金+老齢厚生年金、遺族厚生年金、老齢厚生年金(2分の1)+遺族厚生年金(3分の2)のいずれかとなりますが、妻の厚生年金の加入期間が短いので、一般的には夫の遺族年金を受け取ります。妻の老齢厚生年金が優先的に支給されるため、遺族厚生年金は、その分を差し引いた金額になります。妻の生年月日により、遺族厚生年金に経過的寡婦加算がつきます。

妻が国民年金のみに加入しており、結婚後は専業主婦の世帯

(夫)

60歳から64歳まで、特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)
64歳から65歳まで、特別支給の老齢厚生年金+加給年金(妻が65歳までの間)
65歳からは、老齢厚生年金+老齢基礎年金+加給年金(妻が65歳まで)

(妻)

60歳から64歳まで、なし
65歳からは、老齢基礎年金(+振替加算)

夫の死亡後は、老齢基礎年金(+振替加算)+遺族厚生年金(+経過的寡婦加算)

  • 妻が65歳になると老齢基礎年金が支給されるが、夫の加給年金はなくなり、そのかわりに妻に振替加算がつきます。
  • 夫の死後、妻本人の老齢基礎年金と遺族厚生年金を受け取ります。妻の生年月日により、遺族厚生年金に経過的寡婦加算がつきます。
  • 振替加算とは、夫の加給年金が切り離されて、それにかわって妻の老齢基礎年金に加算されるものです。サラリーマンの妻(被扶養配偶者)は、受給資格期間を満たしても、一般的にカラ期間がある分だけ老齢基礎年金額が低くなるので、その分を埋め合わせるために支給されます。

専業主婦のカラ期間

サラリーマンの妻(被扶養配偶者)は、昭和61年4月以後は第3号被保険者として強制加入になりましたが、それまでは任意加入でした。任意加入できるのに加入しなかった期間をカラ期間といいます。加入期間(原則25年必要)を計算するうえでは、カラ期間を含めますが、カラ期間中は保険料を納めていないので、年金額の計算には反映されません。

女性の厚生年金

老齢厚生年金表(女性)は、65歳から受け取れる金額で、老齢基礎年金の額は含みません。なお、生年月日によっては60歳~65歳になるまでの間、特別支給の老齢厚生年金または、報酬比例部分を受け取れます。その場合、表の金額は報酬比例部分の金額(平成23年度価格)にあたります。

老齢厚生年金表(女性)※昭和21年4月2日以降

平均標準報酬月額「15万円」の場合
2年 5年 7年 10年 12年 15年 17年 20年
2.73 6.83 9.56 13.65 16.38 20.48 23.21 27.31
平均標準報酬月額「20万円」の場合
2年 5年 7年 10年 12年 15年 17年 20年
3.64 9.10 12.74 18.21 21.85 27.31 30.95 36.41
平均標準報酬月額「25万円」の場合
2年 5年 7年 10年 12年 15年 17年 20年
4.55 11.38 15.93 22.76 27.31 34.14 38.69 45.51
平均標準報酬月額「30万円」の場合
2年 5年 7年 10年 12年 15年 17年 20年
5.46 13.65 19.12 27.31 32.77 40.96 46.42 54.62

※平成15年4月以降は総報酬制の適用を受けますが、賞与総額が全月給の30%であれば、上記から年金額を求めることができます。
※平成16年改正により導入されたマクロ経済スライド制による調整率は加味していません。
※5%の年金水準抑制がされますが、従前額の保障規定によって算出しています。
※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

定年後の雇用保険と在職老齢年金

60歳を迎えても、まだまだ現役。定年後も今までの会社に継続して勤務したり、再就職したりする人の場合に受給できる雇用保険の給付や、働きながら受け取る在職老齢年金の仕組みについて説明します。

定年後の雇用保険

雇用保険は、単に失業時の保障だけではなく、継続勤務や再就職の場合に対応して、継続雇用や再就職を支援する給付があります。

(1)継続勤務や再就職した場合の高年齢雇用継続給付

受給要件
  • 60歳以降も継続勤務し、60歳時の賃金の75%未満に低下
  • 今まで5年以上雇用保険に加入
  • 引き続いて雇用保険に加入
受給額(月額)
継続勤務時の賃金の最大15%
受給期間
60歳から65歳になるまで
●高年齢再就職給付金
受給要件
  • 60歳以降に再就職し、再就職前の賃金の75%未満に低下
  • 今まで5年以上雇用保険に加入
  • 再就職によって雇用保険に加入
  • 基本手当を受け取れる日数を100日以上残して再就職
受給額(月額)
再就職先での賃金の最大15%
  • 基本手当の残日数が100日~200日未満 → 再就職時より1年間
  • 基本手当の残日数が200日以上 → 再就職時より2年間
※受給期間内でも、65歳になる月までで打ち切り。

(2)失業した場合の給付と年金

定年後、失業状態の場合は、雇用保険から失業給付(基本手当)を受給できます。その基本的な要件は次のとおりです。

受給要件
  • 雇用保険の加入期間が退職以前2年間に12ヵ月以上ある。
  • 労働の意思と能力があっても職に就けない。
  • ハローワークヘ出向き、退職についての手続きが済んでいる。

基本手当の日額は、退職直前の賃金の日額をもとに計算します。このような基本手当を受け取れる日数は、それまでの雇用保険の加入期間等によって決まります。原則として、退職後1年間において受給できます。この失業給付を受給しようとする場合、失業給付が優先されて、60歳台前半の特別支給の老齢厚生年金は、全額支給停止となります。

在職老齢年金

在職老齢年金は、60歳以降も在職して厚生年金の被保険者になっている人が受け取れる老齢厚生年金です。年金額と月給・賞与に応じて年金額は減額され、場合によっては全額支給停止となります。60歳から65歳になるまでと、65歳以降とでは計算の仕組みが違います。なお、失業給付(基本手当)を受給して全額支給停止される以外にも、雇用保険の高年齢雇用継続給付との調整が行われます。具体的には、高年齢雇用継続基本給付金や高年齢再就職給付金を受給する場合、在職老齢年金は、さらに月給(標準報酬月額)の6%を限度として減額される仕組みです。

●60歳~65歳になるまでの在職老齢年金
  • 基本月額と総報酬月額相当額の合計が28万円を超えた場合に、年金額が減額されます。

※「基本月額」とは加給年金を除く、老齢厚生年金(年額)を12で割った額です。
※「総報酬月額相当額」とは、月給(標準報酬月額)に、直近1年間の賞与を12で割った額を足した額です。

●65歳以降の在職老齢年金
  • 「老齢基礎年金」は支給停止されず、全額支給されます。
  • 「老齢厚生年金の年金月額(加給年金を除く)」と「総報酬月額相当額」の合計額が46万円以下の場合は、老齢厚生年金は全額支給されます。46万円を超える場合は、46万円を超えた額の1/2の年金が支給停止になります。

※平成14年3月までに65歳からの老齢厚生年金の受給権が発生した人には、年金は全額支給されます。
※平成19年3月までに70歳からの老齢厚生年金の受給権が発生した人には、70歳以降の年金は全額支給されます。
※老齢厚生年金が全額支給停止になる場合以外は、加給年金は全額加算されます。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

遺族の年金について

遺族年金には遺族基礎年金、遺族厚生年金、遺族共済年金の3つがあります。どの遺族年金を受け取れるかは、亡<なった人の職業によって違います。また、遺族年金をもらえる遺族の範囲も年金の種類により異なります。

(※2015年10月に共済年金は厚生年金に統合されました。ここに記載されている情報は2015年10月以前の情報です。)

遺族年金の受給と年金額

●自営業世帯(国民年金)

<遺族年金の対象者>
自営業など、国民年金に加入している人に生計を維持されていた遺族。
  • 子どものいる妻
  • 子ども
※子どものいない妻はもらえません。子どもがいる場合も、全員が18歳の年度末を過ぎる(高校を卒業する)ともらえなくなります。
<もらえる年金>(平成23年度)
遺族基礎年金
<年金の受け取りケース>
①子どものいる妻
  • 子ども2人の期間 → 年額1,242,900円
  • 子ども1人の期間 → 年額1,015,933円
②子どものいない妻
  • 妻が65歳になるまでの期間 → なし
  • 妻が65歳以降の期間 → 年額788,900円 (老齢基礎年金)

●会社員世帯(厚生年金)

<遺族年金の対象者>
会社員など、厚生年金に加入している人に生計を維持されていた遺族。
  • 妻、夫、子ども
  • 父母
  • 祖父母
※子どものいない妻ももらえます。妻を除いて年齢条件があります。
<もらえる年金>(平成23年度)
遺族基礎年金、遺族厚生年金
<年金の受け取りケース>
  • 遺族基礎年金の受給可否は自営業世帯と同じです。
  • 遺族厚生年金は、子どもの有無に関係なく、妻は一生涯受け取ることができます。(ただし、子どものいない30歳未満の妻は5年間の有期年金)
①こどものいる妻
  • 子ども2人の期間 → 年額1,840,300円(遺族基礎年金を含む)
  • 子ども1人の期間 → 年額1,613,300円(遺族基礎年金を含む)
※子どもが全員18歳到達年度の末日を迎えた妻は、子どものいない妻と同様の扱いになります。
②こどものいない妻
  • 妻が40歳未満の期間 → 年額597,400円
  • 妻が40~64歳の期間 → 年額1,189,100円(中高齢寡婦加算を含む)
  • 妻が65歳以降の期間 → 年額1,386,300円(妻の老齢基礎年金を含む)

●公務員世帯(共済年金)

<遺族年金の対象者>
公務員世帯(共済年金)
<遺族年金の対象者>
公務員など共済年金に加入している人に生計を維持されていた遺族
<遺族年金の対象者>
  • 妻、夫、子ども
  • 父母
  • 祖父母
※子どものいない妻ももらえます。妻を除いて年齢条件があります。
<もらえる年金>(平成23年度)
遺族基礎年金、遺族共済年金
<年金の受け取りケース>
厚生年金の場合と同様だが、遺族共済年金は職域年金相当分の4分の3が加算されるため、遺族厚生年金よりおよそ2割程度年金額が多くなります。
①こどものいる妻
  • 子ども2人の期間 → 年額1,959,700円(遺族基礎年金を含む)
  • 子ども1人の期間 → 年額1,732,700円(遺族基礎年金を含む)
※子どもが全員18歳到達年度の末日を迎えた妻は、子どものいない妻と同様の扱いになります。
②こどものいない妻
  • 妻が40歳未満の期間 → 年額716,800円
  • 妻が40~64歳の期間 → 年額1,308,500円(中高齢寡婦加算を含む)
  • 妻が65歳以降の期間 → 年額1,505,700円(妻の老齢基礎年金を含む)
※子どもは18歳到達年度の末日までの子どもの他に、20歳未満で1級・2級の障害状態にある子どもも含む
※計算条件
  • 死亡したサラリーマン(公務員)の夫の平均標準報酬月額は35万円、加入期間を25年(300月)として計算しています。
  • 平成15年4月以降は総報酬制の適用を受けますが、賞与総額が全月給の30%として計算しています。
  • 妻は40年間国民年金に加入し、老齢基礎年金を満額受給するものとして計算しています。
  • 経過的寡婦加算は含んでいません。

遺族年金の金額(平成23年度)

●遺族基礎年金

  • 遺族基礎年金の金額は定額です。 基本額 788,900円
  • 加算額は、子どもがいると加算がつきます
    2人まで → 1人につき 227,000円
    3人目以降 → 1人につき 75,600円

●遺族厚生(共済)年金

遺族厚生年金の計算式
A=加入月数(H15.3以前)
B=加入月数(H15.4以降)
{ 平均標準報酬月額 × (7.5/1000)× A + 平均標準報酬額 × (5.769/1000) ×B } × 1.031 × 0.981 × (3/4)
  • 遺族共済年金には、職域年金相当分の4分の3が加算されます
  • 加入月数が300月に満たないときは300月で計算されます
  • 昭和21年4月1日以前生まれの人が亡くなり、加入期間が300月以上の場合、(7.5/1000)、(5.769/1000)の乗率は別の乗率になります

遺族年金の受給期間と加算

妻が遺族厚生(共済)年金を受け取る場合、子どもの有無などで受給期間が違います。また、遺族基礎年金の子どもの加算とは別の加算がつくことがあります。

●こどものいない妻

  • 夫の死亡時に妻が30歳未満の場合、遺族厚生年金は5年間の有期年金です
  • 夫の死亡時に妻が30歳~39歳の場合、遺族厚生年金を一生涯受け取れます
  • 夫の死亡時に妻が40歳以上の場合、一生涯の遺族厚生年金を受け取れます。その年金額には、夫の死亡時~64歳まで、中高齢寡婦加算が、65歳以降は経過的寡婦加算がつきます

●こどものいる妻

  • 末の子の18歳到達年度の末日まで、遺族厚生年金と遺族基礎年金を受け取れます
  • 末の子の18歳到達年度の末日を迎えると、妻は遺族基礎年金を受け取れません。このとき妻が40歳以上であれば、64歳まで中高齢寡婦加算が、65歳以降は、経過的寡婦加算が遺族厚生年金につきます
  • 公務員世帯の場合もこれと同じ仕組みです
(参考:中高齢寡婦加算)
  • 妻の老齢基礎年金が始まっても国民年金のカラ期間により少なく、65歳前より年金額が減るのを防ぐための加算です。65歳以降、一生涯加算されます
  • 昭和31年4月1日以前生まれの妻に加算されます
  • 加算額は妻の生年月日によります
(参考:遺族年金の支給要件)
遺族年金は、生計を維持されていた遺族に支給されますが、「生計を維持されていた」と認められるためには、遺族の年収が850万円未満であることが必要です

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

遺族年金をもらえる65歳以降の妻が選択できる年金の組合せ

1人のひとが老齢年金と遺族年金の2つの受給権を得たときは、どちらかを選択するのが原則ですが、特例として、妻が自らの老齢基礎年金と、夫の遺族厚生年金を組み合わせて受取ることができます。また、女性が厚生年金に加入していた場合、自らの厚生年金と夫の遺族厚生年金の受給権が発生します。65歳以降の女性が受取る年金額は以下の3パターンのうちもっとも高い金額です。

65歳以降の女性が受取る年金のパターン

  • ①妻の老齢基礎年金+老齢厚生年金
  • ②妻の老齢基礎年金+遺族厚生年金
  • ③妻の老齢基礎年金+老齢厚生年金×1/2+遺族厚生年金×1/2

妻自身が納めた保険料を反映させる為、①を受取り、①の金額が②、③の金額に満たない場合は、その差額が遺族厚生年金から支給されます。 現在では障害を持ちながら働いた実績が年金に結びつくよう、妻の老齢基礎年金に代えて妻の障害基礎年金を受取ることもできます。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

厚生年金の手続き方法

公的年金は、ご自身で請求しなければ受け取れません。退職時に厚生年金に加入していた場合、手続きは勤務先を管轄する年金事務所で行います。具体的には、年金手帳、戸籍謄本、配偶者の源泉徴収票または非課税証明書等を裁定請求書とともに提出します。その後2~3ヵ月経つと、裁定通知書と年金証書が郵送されます。

年金は60歳の誕生月の翌月分(誕生日が1日の人は当月分)から支給されます。毎回、偶数月の15日に、前2ヵ月分の年金が支給されます。 60歳を過ぎて受給権があるのに請求し忘れた場合、5年間は遡って年金を受け取ることができます。請求もれに気づいたら、すぐに裁定請求の手続きをとってください。なお、年金加入記録の訂正による年金の増額分は、5年間の時効の適用はありません。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

公的年金の年金額の5%削減と従前額保障について

年金水準の引下げの5%削減とは、老齢厚生年金の水準を95%相当にすることです。しかし現実に支給される年金額が5%削減されるということではなく、年金額の将来への伸びを5%抑制するという意味です。老齢厚生年金の計算項目には、生年月日によって定まる乗率がありますが、この乗率1000分の7.5を、1000分の7.125とすることで、削減が行われます。

ただし、実際の年金支給額が下がらないようにするために、新しい計算による年金額が、今までの物価スライドを含む計算と比較して低い場合は、今までの式による年金を支給します。これを従前額保障といいます。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

物価スライドについて

物価の変動に合わせて、年金額を見直す仕組みを物価スライド制といいます。国民年金や厚生年金は、年平均の消費者物価指数の変動に合わせて、毎年見直しを行っています。

消費者物価指数は、ここ数年連続して下落していましたが、平成12~14年度の年金額は特例措置によって合計1.7%に相当する分が減額改定されず、据え置かれていました。平成22年の物価指数下落によって、年金額改定の基準となる平成17年の物価を0.4%下回ることになり、平成23年度のスライド率は、0.981となります。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

マクロ経済スライドについて

平成16年の制度改正により「保険料固定方式」が導入され、保険料の将来的な伸びに上限が設けられました。これと併せ、年金額の伸びを調整するために設けられたのがマクロ経済スライドです。

年金額は物価や賃金水準の伸びに応じて改定され、実質的な価値が保たれる仕組みになっています。各年度の年金価格の決定時に、物価(賃金)の伸びからスライド調整率(当面約9%)分を差し引いた年金改定率が用いられます。スライド調整率は、年金財政に影響する「公的年金全体の被保険者数の減少」や「平均寿命の延び」を考慮した率とされています。この調整率を差し引くと年金改定率がマイナスの場合、年金改定率は増減なしとするなどの決まりがあります。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

老齢基礎年金の繰上げ支給について

老齢基礎年金は、原則として65歳から支給されますが、請求すれば、繰上げ支給の老齢基礎年金を、60~65歳になるまでの間に受け始めることができます。ただし、減額率があり、一度決められた減額率は、一生変更することができません。

減額率=0.5%×繰上げ請求月から65歳になる月の前月までの月数

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

老齢基礎年金の繰下げ支給について

繰上げ支給とは反対に、66歳になるまで老齢基礎年金を請求しなかった人が、66歳以降に申し出をすれば、増額された繰下げ支給の老齢基礎年金が支給されます。また、繰上げ支給と同様に一度決められた加算率は、一生変更することができません。

加算率 = 0.7% × 65歳になった月から申し出月の前月までの月数

平成19年4月から、65歳からの老齢厚生年金を繰下げて受け取れるようになりました。平成19年4月以降に、老齢厚生年金の受給権を得た人が対象で、 66歳になる前に老齢厚生年金を請求しなかった人が、66歳以降に申し出をすれば、加算率によって増額された繰下げ支給の老齢厚生年金を受け取れます。加算率は、繰下げ支給の老齢基礎年金の加算率と同じです。なお、60歳台前半の部分年金や特別支給の老齢厚生年金は繰下げの対象外です。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

60歳前半の在職老齢年金の計算方法について

60歳から65歳になるまでの在職老齢年金は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」が28万円を超えた場合、年金が一部停止されます。一部停止額は、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の組み合わせに応じて、次の計算式のいずれかに当てはめて計算します。

支給停止額の計算額

①基本月額が28万円以下で総報酬月額相当額も46万円以下の場合
(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)×1/2
②基本月額が28万円以下だが総報酬月額相当額が46万円を超える場合
(46万円+基本月額-28万円)×1/2+(総報酬月額相当額-46万円)
③基本月額が28万円を超えるが総報酬月額相当額が46万円以下の場合
総報酬月額相当額×1/2
④基本月額が28万円を超え総報酬月額相当額も46万円を超える場合
(46万円×1/2)+(総報酬月額相当額-46万円)

基本月額=60歳台前半の老齢厚生年金の年金額(加給年金を除いた金額)÷12
総報酬月額相当額=その月の標準報酬月額+直近1年間に受けた賞与総額÷12
※上記の式によって年金が一部でも支給されるときは、加給年金は支給されます。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

加入期間の短い人が亡くなった場合の遺族厚生年金について

遺族厚生年金は、老齢厚生年金の3/4相当額であり、平均標準報酬月額と加入期間に比例します。加入期間が短いと年金額が少なくなってしまうため、300月に満たない場合は、300月加入していたものとみなして計算されます。これを短期用件の年金額といいます。

平均標準月額と平均標準報酬月額の加入実月数でそれぞれの年金額を計算し、その両方を合算したものに「300/全実加入月数」と「スライド率」を乗じた額の3/4が短期用件の年金額となります。

遺族厚生年金=(平均標準月額の期間分+平均標準報酬月額の期間分)×300/実加入月数×1.031×0.981×3/4

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

女性が死亡した場合の遺族年金

遺族国民年金
遺族基礎年金は子のいる妻、または子にに支給されため、夫は遺族基礎年金を受け取れませんが、自営業世帯の妻などが国民年金保険料を払ったいれば、一定の要件を満たせば満たせば死亡一時金が受取れます。
遺族厚生年金
遺族厚生年金は夫も受け取れますが、妻の死亡時に55歳以上であり、妻に生計を維持されていたなどの要件を満たした夫が60歳から受取れます。夫が自身の厚生年金を受取れる場合、遺族厚生年金と合わせて受取ることはできないため、どちらか一方を選ぶことになります。夫自身の厚生年金のほうが高額になるケースが多いため、自身の老齢厚生年金を選択する人が多いようです。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

保険料を滞納していた場合の遺族年金や障害年金

保険料を滞納していた場合、遺族年金や障害年金を受け取れない場合があります。健全な年金制度の運用の面から、一定以上の保険料を納めていることが受給の要件となっており、これを、保険料納付要件といいます。以下のいずれかを満たせば保険料納付要件を満たしたとされます。

保険料納付要件
  • 死亡又は障害の原因となった病気やけがによって初めて病院で診療を受けた日から1年以内に保険料の滞納期間がない
  • 保険料の滞納期間が加入期間の1/3を超えていない

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

国民年金基金について

自営業者などの老後保障を充実させるため、国民年金加入者向けの上乗せ年金として国民年金基金があります。

国民年金基金には、以下の2種類があります。

  • 同一の都道府県に住所のある人で組織される「地域型国民年金基金」
  • 同種の事業または業務に従事する人で組織される「職能型国民年金基金」

ただし、同時に2つ以上の国民年金基金に加入することや、途中でやめることはできません。加入資格は、20歳から60歳までの自営業者とその妻などが対象で、国民年金の保険料免除者、農業者年金の加入者、サラリーマンの妻は加入できません。また、保険料の払い込みは国民年金と同様に60歳までで、年金は原則として65歳から支給されます。保険料は、地域型も職能型も同一で本人が選択でき、年金の給付の型、加人口数・加入時の年齢および男女別により異なります。なお、国民年金基金の保険料は国民年金の保険料と同様、全額が所得税・住民税の社会保険料控除の対象となります。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

厚生年金基金について

厚生年金基金とは、老齢厚生年金の報酬比例部分の一部を国にかわって支給する制度です。企業単位や同業種組合等で設立されています。

報酬比例部分のうち、国は賃金水準の伸びや物価スライドによる額部分を支給し、基金はそれ以外の部分を支給します。

厚生年金基金が支給するのを代行部分といいますが、代行部分はプラスアルファをつけて国が行う年金額よりも、手厚いものにするようになっています。基金加入者が老齢厚生年金を受けられるようになったとき、国と基金の両方から年金が支給されますが、計算はそれぞれ別個に行われます。

年金事務所で計算する年金額は国が支給する部分のみですので、基金の計算書も取り寄せて合計しないと、正確な老齢厚生年金は確認できません。

※社会保障制度の詳細につきましては、所轄の年金事務所等にご相談ください。

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