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保険金にかかる税金
目次
保険金にかかる税金の種類
生命保険を契約するとき、契約者、被保険者、保険金受取人により、受け取った保険金に、相続税・贈与税・所得税・住民税のいずれかが課税対象になります。
「死亡保険金」と「満期保険金」、契約形態の違いにより、税金の種類が違います。
- 死亡保険金にかかる税金
- 契約者(夫):被保険者(夫):受取人(妻)→(相続税)
契約者(夫):被保険者(妻):受取人(夫)→(所得税・住民税)
契約者(夫):被保険者(妻):受取人(子)→(贈与税) - 満期保険金にかかる税金
- 契約者(夫):被保険者(夫):受取人(夫)→(所得税・住民税又は20%源泉分離課税)
契約者(夫):被保険者(妻):受取人(夫)→(所得税・住民税又は20%源泉分離課税)
契約者(夫):被保険者(妻):受取人(妻)→(贈与税)
契約者(夫):被保険者(妻):受取人(妻)→(贈与税)
契約者(夫):被保険者(妻):受取人(子)→(贈与税)
- ※課税関係をみるときの注意点
- 契約者と保険料負担者は同一人であるとの前提としていますが、課税関係をみるときは、名義上の契約者にかかわりなく、実際に誰が保険料を負担していたかで判断されます。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
死亡保険金にかかる税金(相続税)
契約者(保険料負担者)で、被保険者の夫が死亡し、死亡保険金5,000万円を、保険金受取人である妻が受け取りました。
この保険金のほかに相続する財産が1億7,000万円あり、その財産は妻1億3,000万円、2人の子供がそれぞれ2,000万円ずつ受け取りました。
なお、借入金の残り300万円、葬式代200万円、計500万円を保険金から支払いました。
この場合の税金はどうなるでしょうか?
死亡保険金にかかる相続税の計算
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保険料負担者である被保険者(夫)が死亡した場合、その死亡保険金は相続税の課税対象です。受け取った生命保険金5,000万円は、「みなし相続財産」として、遺産の総額に含められます。ただし、この契約形態の場合は、「生命保険金の非課税」という税制上の特典があります。
(法定相続人数:妻+子供2人=3人) 500万円×3人=1,500万円
相続税の課税価格に算入するのは、5,000万円-1,500万円=3,500万円
※生命保険金の非課税金額
死亡保険金は「残された家族の生活保障」という大切な遺産ですので、一定の生命保険金が非課税とされています。相続人が保険金を受け取る場合にかぎり、「500万円 × 法定相続人の人数」 が非課税金額となります。
※非課税金額計算上の法定相続人数には、相続を放棄した者も含みます。
この事例では、子供が相続放棄しても、妻が受け取る死亡保険金から1,500万円を控除できます。しかし、相続放棄したのが妻(死亡保険金受取人)の場合、妻には非課税金額が適用されません。
相続税額の計算方法
- 1.課税価格の計算
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妻 子 子 合計 相続財産 13,000万 2,000万 2,000万 17,000万 生命保険金 5,000万 - - 5,000万 生命保険の非課税金額 ▲1,500万 - - ▲1,500万 債務控除 ▲300万 - - ▲300万 葬式費用 ▲200万 - - ▲200万 課税価格 16,000万 2,000万 2,000万 20,000万 ※債務控除
被相続人に返済すべき債務があれば、遺産の総額から差し引きます。借入金元利、地代家賃の滞納分、住宅ローンの残額等が該当します。そのほか、納税義務が確定している住民税の未納分を債務として控除できます。※葬式費用
遺産相続人が負担したお通夜、告別式の費用は、遺産の総額から控除できます。 - 2.課税遺産総額
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相続税が課税される課税遺産総額を計算します。
課税遺産総額=課税価格合計-基礎控除(3,000万円+法定相続人の数×600万円)
基礎控除額=3,000万円+3×600万円=4,800万円
(課税価格合計)-(基礎控除)=(課税遺産総額)
20,000万円 - 4,800万円 = 15,200万円 - 3.相続税の総額
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課税遺産総額を法定相続分どおりに相続したと仮定して計算し、相続税の総額を計算します。
- ①法定相続分に応じた仮の取得財産を計算
- 仮の取得財産=課税遺産総額×法定相続分
妻の仮の取得金額 15,200万円×1/2=7,600万円
子の仮の取得金額 15,200万円×1/2×1/2=3,800万円
子の仮の取得金額 15,200万円×1/2×1/2=3,800万円 - ②仮の取得金額の基づく相続税の計算
- 仮の取得金額にもとづき、税額速算表により計算。
(妻)7,600万円×30%-700万 = 1,580万円
(子)3,800万円×20%-200万 = 560万円
(子)3,800万円×20%-200万 = 560万円
(相続税の総額)2,700万円
※法定相続分
法定相続人の相続順位により、民法で定められた相続分をいいます。
【相続の順位と相続分】
(第1順位)
法定相続人(配偶者):2分の1
法定相続人(子<孫>):2分の1
(第2順位)
法定相続人(配偶者):3分の2
法定相続人(父母<祖父母>):3分の1
(第3順位)
法定相続人(配偶者):4分の3
法定相続人(兄弟姉妹):4分の1※子供、両親、兄弟姉妹の相続分は、人数により均等に配分します。
●配偶者は常に相続人になります。
●子供のある場合、配偶者と子供が相続人になります。
●子供や孫がいない場合、配偶者と父母が相続人になります。
●子供、孫、父母、祖父母のいすれもいない場合、配偶者と兄弟姉妹が相続人になります。
●子や兄弟姉妹が既に死亡している場合、その子(すなわち孫や甥・姪)が本人に代わって相続(代襲相続)しますので、当該代襲相続人が、法定相続人となります。
●遺産相続をした者が配偶者および一親等の血族(子および父母)以外のときは、その者の算出税額に2割を加算します。【相続税の税額速算表】
相続税の税額=法定相続人の取得金額(A)×税率(B)-速算控除額(C)
<相続税額速算表> 法定相続人の取得金額 税率 基礎控除 1,000万円以下 → 10% 0万円 3,000万円以下 → 15% 50万円 5,000万円以下 → 20% 200万円 10,000万円以下 → 30% 700万円 20,000万円以下 → 40% 1,700万円 30,000万円以下 → 45% 2,700万円 60,000万円以下 → 50% 4,200万円 60,000万円超 → 55% 7,200万円 ※例えば法定相続人の取得金額3,000万円の場合、税率は15%、速算控除額は50万円。3,000万円を少しでも超えると、税率は20%、速算控除額は200万円。
- 4.各相続人の相続税額の計算
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- ①相続税の総額を実際に相続した割合で按分します。
- 妻 2,700万円×(16,000万円÷20,000万円)=2,160万円
子 2,700万円×(2,000万円÷20,000万円)=270万円
子 2,700万円×(2,000万円÷20,000万円)=270万円 - ②配偶者の税額控除
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配偶者の相続税額から、控除します。
相続税の総額×(AまたはBの低い金額÷課税価格の合計額)=配偶者の税額軽減
2,700万円 ×(16,000万円÷20,000万円)=2,160万円- A=(課税価格の合計額×法定相続分)と16,000万円のどちらか多い金額
課税価格の合計額20,000万円
相続税の総額2,700万円
(課税価格の合計額×法定相続分)
20,000万円× (1/2) =10,000万円
10,000万円<16,000万円
A=16,000万円 - B=配偶者が実際に取得した課税価格
B=16,000万円
- A=(課税価格の合計額×法定相続分)と16,000万円のどちらか多い金額
- ③納付税額
- (妻) 2,160万円-2,160万円=0万円
(子) 270万円
(子) 270万円
合計 540万円
この場合は、配偶者である妻は相続税を納めなくてよく、子ども2人がそれぞれ270万円ずつ、計540万円相続税を納付します。
また、更に税額の控除が受けられる場合があります。- 未成年者控除
遺産相続した人のうち、未成年者がいる場合、満20歳に達するまでの1年につき10万円の税額が控除されます。 - 障害者控除
遺産相続人が障害者である場合、その障害者の方が法定相続人であれば満85歳に達するまで、1年に10万円(特別障害者の場合は20万円)の税額控除があります。 - 贈与税額控除
相続人が被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた場合、その贈与を受けた財産は相続税の課税価格に加算されますが、その財産についてすでに課税された贈与税の金額は差し引かれます。
※本記載は、平成28年4月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
死亡保険金にかかる税金(所得税)
妻が被保険者で、契約者(保険料負担者)と死亡保険金受取人が夫の保険です。
妻の死亡により生命保険会社から死亡保険金1,000万円を受け取りました。
いままでに支払った保険料の合計は150万円です。
この場合に納付することとなる所得税の金額を計算してみます。
死亡保険金にかかる所得税の計算
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勤務先から渡された源泉徴収票の金額
(支払金額)680万円
(給与所得控除後の給与の金額)483万円
(源泉徴収税額)11.34万円
(社会保険料)85.1万円
(生命保険料控除額)10万円
(扶養家族)妻、子供は高校生(16)・中学生(14)の2人
死亡保険金は相続税になると思われる方が多いと思いますが、契約者(保険料負担者)と死亡保険金受取人が同一人なので、所得税になります。夫が受け取った生命保険金1,000万円は、一時所得になります。他の所得(この場合は給与所得)と合算して、総合課税になります。なお、所得税以外に、道府県民税、市町村民税などの住民税がさらに課税されます。
- 1.一時所得の金額
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(総収入金額)-(払込保険料)-(一時所得の特別控除額)=(一時所得の金額)
1,000万円-150万円-50万円=800万円 - 2.総所得金額
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(給与所得)+(一時所得)×(1/2)=(総所得金額)
483万円+800万円×(1/2)= 883万円※課税一時所得の計算
(受取保険金額-払込保険料総額-一時所得の特別控除50万)×1/2=課税一時所得 - 3.所得控除の計算
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社会保険料控除 85.1万円 生命保険料控除 10万円 配偶者控除 38万円 一般の扶養控除 38万円 基礎控除 38万円 合計所得控除額 209.1万円 - 4.課税所得金額の計算
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総所得金額-所得控除額=課税所得金額
883万円-209.1万円=623.9万円 - 5.算出税額
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課税所得金額×税率-速算控除額=算出税額
623.9万円×20%-42.75万円=82.03万円算出税額-源泉徴収額=納付税額
82.03万円-11.34万円=70.69万円※算出税額から源泉徴収額(納付済の税額)を差し引くことによって税額の調整を行い、この事例では、死亡保険金の金額1,000万円に対して、70.69万円の所得税を納税することになります。
所得税の税額速算表 所得金額 税率 控除額 195万円以下 5% - 195万円を超え330万円以下 10% 9.75万円 330万円を超え695万円以下 20% 42.75万円 695万円を超え900万円以下 23% 63.60万円 900万円を超え1,800万円以下 33% 153.60万円 1,800万円超 40% 279.60万円
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
死亡保険金にかかる税金(贈与税)
契約者(保険料負担者)を夫、被保険者を妻、死亡保険金受取人を子供で保険を契約していました。
妻が死亡したため、死亡保険金500万円を子供が受け取りました。
この場合の納める税金を計算してみます。
死亡保険金にかかる贈与税
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この場合、相続税ではありません。
保険料を負担していた契約者(夫)は生存しているので、税法上(夫)から(子供)への贈与とみなされるため、贈与税の課税対象となります。
- 贈与税額
- (死亡保険金)-(基礎控除額)=(課税価格)
500万円 - 110万円 = 390万円
※基礎控除額は、贈与を受けた方1人につき、年間110万円。
(課税価格)× (税率) - (速算控除額) = 贈与税額
390万円 × 20% - 25万円 = 53万円
基礎控除後の課税額 | 税率 | 控除額 |
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200万円以下 | 10% | 0円 |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,000万円超 | 50% | 225万円 |
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
満期保険金を受け取って所得税がかかる場合
>『満期保険金にかかる税金(所得税)』をご覧ください。
満期保険金を受け取って贈与税がかかる場合
>『満期保険金にかかる税金(贈与税)』をご覧ください。
個人年金保険の年金受取時にかかる税金
>『個人年金保険の年金受取時にかかる税金』をご覧ください。
金融類似商品(一時払養老など)にかかる税金
>『金融類似商品(一時払養老など)にかかる税金』をご覧ください。
満期保険金や死亡保険金を年金として受け取る場合の税金
>『満期保険金や死亡保険金を年金として受け取る場合の税金』をご覧ください。
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