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相続贈与時の税金に備える
目次
贈与と贈与税
お金を借りて「あるとき払いの催促なし」や「出世払い」にしたというようなときは、贈与の意思がなくても贈与税の対象になる場合があります。
贈与
個人が、個人から財産の贈与を受けた場合、財産の贈与を受けた個人に贈与税がかかります。 贈与税は、財産の贈与を受けた場合に限らず、いろんな場合で課税されます。
- 借金を免除や肩代わりしてもらった場合
- 著しく低い金額で財産を取得した場合
- 保険料を自分以外の人が負担していた生命保険の満期保険金を受け取った場合
- 保険料を被相続人や自分以外の人が負担していた生命保険の死亡保険金を受け取った場合
- その他経済的な利益を受けた場合
贈与税がかからない場合
贈与により財産を取得しても、贈与税が課税されない場合があります。
- 扶養義務者から、生活費や教育費として贈与されたもののうち、通常必要なもの
- 社交上必要な香典、祝金、見舞金等
- 離婚に際しての財産分与その他
- 法人から贈与された場合(一時所得として所得税が課税されます)
注意点
- 相続税の申告のとき、子供や配偶者の名義の預金が、亡くなった父親(夫)のものではないかとトラブルになることがあります。子供名義の預金でも、それが父親から以前に贈与されたものなのか、それとも単なる子供の名義を借りただけのものなのかということです。単なる名義を借りただけということであれば、その子供名義の預金は亡くなった父親のものとして相続税の対象となります。贈与とは、他人に無償で財産を与える契約で、贈与する者(贈与者)と贈与を受ける者(受贈者)の合意が必要です。贈与した際に、預金通帳や印鑑も父親が管理していたのであれば、贈与したことにならないため、贈与契約書などを作成し、父親の通帳から子供の通帳へ贈与する金額を振り込み、通帳も印鑑も子供が管理し、なるべく110万円を超える贈与をして贈与税の申告を税務署に提出しておきます。
- 「現金1,100万円の贈与を、10年に分けてする」のと、「1年目110万円を贈与、2年目110万円の贈与、3年目110万円の贈与、・・・10 年たったら1,100万円贈与していた」というのとは話が違ってしまいます。つまり前者のケースでは、「最初の年に1,100万円の贈与があった」と認定され、高い贈与税を納めることになります。贈与することが、その年に決まったということが説明できるように、毎年贈与契約書などを作成する、毎年贈与の時期をずらす、金額を変える、贈与する物を変えるなどしておくと、トラブルを避けられます。
- 住宅新築資金を父親が出したのに、子供の名前で登記した場合や、子供名義で登記された家屋に、父親が増改築をしたような場合には、贈与とされ、贈与税が課税されます。また、マイホームの購入に充てるために、子供が父親からお金を借りた場合、「あるとき払いの催促なし」や「出世払い」にしたというような場合は、贈与とみられます。親子間でも、金銭消費貸借契約書を取り交わし、きちんと毎月返済し、返済を銀行振込みにするなどしておくと、トラブルを回避できます。
- 相続開始前3年以内に行われた贈与は、相続税の対象となります。
- 親子間で土地の貸し借りをする場合に、通常は権利金を支払う地域で権利金のやり取りがなくても、地代が無償または固定資産税相当額以下(使用貸借の場合)のときは贈与にはなりません。しかし、権利金を支払わずに、通常の地代を支払っていると、借地権が贈与されたとして贈与税が課税されます。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
贈与税の計算
贈与税は、超過累進税率で課税されます、贈与された金額が増加すると、税率も高くなります。早く贈与を始め、少額を長期間にわたり贈与するのがポイントです。
贈与税は、個人が1月1日から12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額から基礎控除額の110万円を控除した課税価格に税率を掛けて計算します。例えば、1年間に父から現金400万円、母から現金200万円の贈与を受けると贈与税は82万円となります。
- 課税価格の計算
- (400万円 + 200万円)- 基礎控除110万円 = 490万円
- 贈与税額
- 490万円 × 30% - 65万円 = 82万円
この贈与が、150万円ずつの4年間の贈与であれば、贈与税は16万円で、100万円ずつの6年間の贈与であれば、贈与税はかかりません。贈与税はなるべく少額を、長い年数をかけて贈与することが節税のポイントです。また、相続時精算課税制度や、配偶者に居住用不動産等を贈与した場合には、贈与税額が軽減される特例があります。
- 参考:贈与税の速算表
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課税価格 税率 控除額 200万円以下 10% - 300万円以下 15% 10万円 400万円以下 20% 25万円 600万円以下 30% 65万円 1,000万円以下 40% 125万円 1,000万円超 50% 225万円
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
申告と納税
贈与税は、贈与を受けた人が、贈与のあった年の翌年2月1日~3月15日までの間に税務署へ申告と納税をします。
与税の申告について
贈与を受けた場合、その年の1月1日から12月31目までの間に贈与された財産の合計額が、基礎控除の110万円を超える場合、贈与を受けた年の翌年2月1目から3月15日までの間に、贈与を受けた人の住所地を所轄する税務署に、贈与税の申告書を提出します。贈与税の配偶者の特例や、相続時精算課税の適用を受けるためには、納める贈与税がない場合でも、申告の必要があります。
納税について
- 原則
- 贈与税も、所得税などと同じように、原則として金銭で一時に、贈与を受けた年の翌年3月15目までに納付します。
- 延納
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに、金銭で納付することが困難な場合、延納申請書を提出し、担保を提供すると、最長5年の年賦延納があります。延納する場合には、年6.6%の割合で利子税がかかります。平成12年1月1日以後は、「前年11月末日の日本銀行が定める基準割引率 + 4%」が、年7.3%未満の場合には、「年6.6% × (前年11月末日の日本銀行が定める基準割引率 + 年4%) / 年7.3% となります。贈与税に、物納は認められていません。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
贈与税の配偶者控除
婚姻期間が20年以上の配偶者に対して、居住用不動産や居住用不動産の購入資金を贈与した場合、基礎控除を含め2,110万円までは、贈与税は対象となりません。(登録免許税、不動産取得税などはかかります)
適用要件について
贈与税の配偶者控除は、
- 同一世代間の贈与であること
- 贈与の認識が概して希薄であること
- 夫の死亡後の妻の生活保障の意図で行われること
などの理由から、課税価格から2,000万円を、配偶者控除として控除することができます。
- 適用要件
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- 婚姻期間が20年以上の配偶者からの贈与であること
- 居住用不動産(居住用の土地、借地権、家屋)または、居住用不動産の購入のための金銭の贈与であること
- 前年以前に、この特例を受けていないこと
※同一の配偶者からの贈与については、一生に一度に限り適用を受けられます。 - 居住用不動産は、贈与を受けた年の翌年3月15日までに居住し、かつ、その後も居住する見込みであること
- 居住用不動産の購入のための金銭の場合は、その金銭の贈与を受けた年の翌年3月15日までに、居住用不動産の取得に充て、その取得した居住用不動産に3月15日までに居住し、かつ、その後も居住する見込みであること
- 配偶者控除の適用を受ける旨、およびその控除額の明細書を記載した贈与税の申告書に、所定の書類を添付して提出すること
- 課税価格の計算式
- 課税価格 = 贈与財産合計額 - 配偶者控除額(最高2,000万円)- 基礎控除額(110万円)
手続きについて
この特例は贈与税が「0」であっても、配偶者控除の適用を受ける旨、およびその控除額の明細等を記載した贈与税の申告書に、以下の書類を添付して提出する必要があります。
- 贈与を受けた日から10日を経過した日以後に作成された戸籍謄本、または抄本の写し、および戸籍の付票の写し
- 居住用不動産の登記事項証明書
- 居住用不動産に、居住した日以後に作成された住民票の写し
建物より土地のほうが有利
贈与税の評価額が同額の、居住用の土地と居住用の建物の贈与の場合には、通常、土地の贈与のほうが有利です。それは、贈与したときの評価額が同じでも、その後、長期的に建物はだんだん実質的な価値が下がるからです。ただし、将来売却するような場合を考えると、建物も一部贈与したほうが有利です。これは、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除が、夫と妻の両者で使えるからです。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続時精算課税制度
相続時精算課税制度の適用を受けた場合、2,500万円までの贈与は、贈与税がかからず、相続時に精算することになります。
適用対象者について
贈与者は、60歳以上の父母又は祖父母、受贈者は、20歳以上の推定相続人である子又は孫です。
適用手続について
「相続時精算課税制度」を選択する受贈者(子又は孫)は、その選択する最初の贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に、所轄税務署長に対し、その旨の届出を贈与税の申告書に添付します。この選択は、受贈者(子又は孫)が各々、贈与者(父母又は祖父母)ごとに選択できます。ただし、一旦選択すると、相続時までこの制度が継続して適用され、暦年課税に変更することはできません。
適用対象財産等について
贈与財産の種類、金額、贈与回数に、制限はありません。
税額の計算について
- (A)贈与税額の計算
- 相続時精算課税制度の選択をした受贈者は、この制度に係る贈与者からの贈与財産について、贈与時に申告を行い、他の贈与財産と区分して、選択をした年以後の各年にわたるその贈与者からの贈与財産の合計額をもとに計算した贈与税を支払います。この「贈与税」は、選択をした年以後については、基礎控除額110万円を控除せず、贈与財産の合計額から、複数年にわたり利用できる2,500万円(非課税枠)を控除した後の金額に、一律20%の税率を乗じて算出します。相続時精算課税制度を選択した受贈者が、この制度に係る贈与者以外の者から贈与を受けた場合、その贈与財産の合計額から基礎控除額110万円を控除し、贈与税の通常の税率を乗じて贈与税額を計算します。
- (B)相続税額の計算について
- 相続時精算課税制度の選択をした受贈者は、この制度に係る贈与者の相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して、それにかかる相続税額を計算し、その相続税額から、既に支払った贈与税額を控除します。その際、相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない贈与税額の還付を受けることができます。なお、相続財産と合算する贈与財産の評価額は、贈与時の時価とされます。住宅取得等の資金贈与については、経済対策の時限措置として、2019年6月末まで非課税の特例があります。
※本記載は、平成27年4月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続と相続人
相続人は、被相続人の配偶者、および一定の血族関係者がなります。
相続について
相続とは、人の死亡により、その死亡者(被相続人)が所有していた不動産などの財産や、借入金などの債務を、相続人に承継することです。
相続人について
相続人には、配偶者相続人と血族相続人があります。
- 配偶者相続人
- 被相続人の配偶者で、血族相続人が いる・いない に関わらず、常に相続人になります。配偶者は、法律上の婚姻をしている者で、内縁関係にある者は含まれません。
- 血族相続人
- 被相続人の、子どもや孫、父母(祖父母)、兄弟姉妹です。
- ●子ども:血族相続人の第1順位
- 被相続人に子どもがいる場合、まず子どもと配偶者が相続人になります。たとえ父母や祖父母、兄弟姉妹がいたとしても、子どもと配偶者だけが相続人になります。相続人となる子どもには、実子だけでなく養子も含まれ、正式な婚姻関係にない人との間に生まれた子どもも、認知されていれば相続人になります。被相続人の死亡時点で胎児であった子どもも、その後に出生したときは、被相続人の死亡時点で既に生まれていたものとみなし、相続人になります。被相続人よりも先に子どもが死亡している場合は、その子どもの子ども(孫)が相続人になります。さらに、孫も被相続人よりも先に死亡している場合、その孫の子ども(曾孫)が相続人になります。これらの孫や曾孫を、代襲相続人といいます。
- ●父母(祖父母):血族相続人の第2順位
- 被相続人に子どもがいない場合、父母と配偶者が相続人になります。父母ともに死亡している場合に限り、祖父母が第2順位の相続人となります。
- ●兄弟姉妹:血族相続人の第3順位
- 被相続人に子ども、父母(祖父母)がいない場合、兄弟姉妹と配偶者が相続人になります。被相続人よりも先に兄弟姉妹が死亡している場合には、その兄弟姉妹の子ども(甥や姪)が代襲相続人になります。しかし、甥や姪も被相続人よりも先に死亡している場合、その甥や姪の子どもは、代襲相続人になれません。
相続のスケジュール
被相続人の死亡日から相続税の申告期限まで10ヶ月です。相続税の申告期限までにする手続きや、相続人間で検討する事柄があります。
相続発生後の申告手続きスケジュール
被相続人の死亡から相続税の申告納税までのスケジュール
- 被相続人の死亡(相続開始)
- 関係者への連絡、葬儀の準備
- 通夜
- 死亡届の提出
死亡届は7日以内に死亡診断書を添付し、市区町村に提出。 - 葬儀
- 葬儀費用の領収書等の整理と保管
- 初七日法要
- 遺言書の確認
遺言書があれば、家庭裁判所で検認を受けた後、開封。 - 香典返し
三十五日忌か四十九日忌法要の頃に行います。葬儀費用には含まれません。 - 遺産や債務の概要把握
相続を放棄するかどうか決めます。 - 相続の放棄または限定承認
相続開始から3ヶ月以内に裁判所に申述 - 相続人の確認
被相続人と相続人の本籍地から戸籍謄本を取り寄せます。 - 所得税の申告と納付(準確定申告)
相続開始から4ヶ月以内に死亡日までの所得を税務署に申告します。 - 遺産や債務の調査
- 遺産評価・鑑定
- 遺産分割協議書の作成
相続人全員の実印と印鑑証明書が必要です。 - 相続税の申告書の作成
納税資金の準備、延納または物納にするか検討します。 - 相続税の申告と納税
相続開始から10ヶ月以内に披相続人の死亡した時の住所地の税務署に申告、納税。延納、物納の申請も同時にします。 - 遺産の名義変更手続き
不動産の相続登記や預貯金、有価証券の名義書換えをします。
相続の放棄と限定承認
相続人の相続に関する選択肢としては、単純承認、限定承認、相続放棄があります。
- 単純承認
- 単純承認は、被相続人のすべての財産・債務を相続することです。相続人が何も手続きをとらない場合は、自動的に単純承認することになります。
- 限定承認
- 限定承認は、被相続人から相続により取得した財産を限度として、債務を相続することです。これは相続人全員で、被相続人の死亡後3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。
- 相続放棄
- 相続放棄は、被相続人の財産・債務をいっさい相続しないことです。相続人が、被相続人の死亡後3ヶ月以内に、家庭裁判所に申述する必要があります。相続人1人でも、手続き可能です。
所得税の申告と納税(準確定申告)
被相続人の死亡した年の、1月1日~死亡日までに得た所得について、死亡日から4ヶ月以内に申告および納税をする必要があります。
相続税の申告と納税
被相続人の死亡日から10ヶ月以内に税務署へ相続税の申告および納税をする必要があります。また、納税の特例(延納、物納)申請手続きも同日までにします。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続分と遺産分割
遺産分割は、相続人全員の話し合いで自由に決めることができます。その遺産分割を行う場合の目安になるのが相続分です。相続人の相続すべき割合です。
遺言書がある場合
被相続人の残した遺言書に基づき、遺産分割をする場合、公正証書遺言以外の遺言書は、封印のあるものでも封印のないものでも、すべて家庭裁判所に提出し、検認という手続きをとります。封印のあるものについては、家庭裁判所に出頭した相続人などのもとで開封をすることになります。遺言書の検認、開封手続きを終えると、遺言の内容に従って遺産分割を行います。遺言書に、遺言執行者が指定されている場合や、相続人が遺言執行者を選任した場合は、遺言執行者が遺産分割の手続きをとります。
協議分割
遺言書がない場合や、遺言書があったとしても、その遺言書の内容に納得できない場合は、相続人の全員で協議をし、遺産分割をします。この協議分割の1つの目安になるのが相続分です。相続分は、あくまでも目安ですので、相続分に従わなくても問題ありません。
- 相続分
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- 配偶者がいる場合
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- 子または孫がいる場合:法定相続分
配偶者:1/2 子または孫:1/2 父母(祖父母):0 兄弟姉妹:0 - 子または孫がいない場合:法定相続分
配偶者:2/3 父母(祖父母):1/3 兄弟姉妹:0 - 子または孫、父母(祖父母)がいない場合:法定相続分
兄弟姉妹:1
※子供、父母、兄弟姉妹が複数いる場合は、各自の相続分は均等割。
※非嫡出子は同一順位の者の2分の1 - 子または孫がいる場合:法定相続分
- 遺産分割の方法について
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- 現物分割
- 現物分割は、たとえば長男には土地と建物を、長女には預貯金と株式をなどというように、個々の財産を各相続人に配分する方法です。
- 換価分割
- 換価分割は、現物分割が困難な場合や遺産を分割することによって遺産の価値が減少するような場合に、遺産を売却してその売却代金を相続人に配分する方法です。
- 代償分割
- 代償分割は、現物分割が困難な場合や遺産を分割することによって遺産の価値が減少するような場合に、遺産の全部または大部分を特定の相続人が取得し、その相続人が他の相続人に代償金を支払う分割の方法です。
- 遺産分割協議書について
- 遺産分割協議が調った場合、後のトラブル防止のためにも、その内容を文書化しておく方がよいと思われます。その遺産分割協議書に、相続人全員で署名押印すれば、協議が成立したことになり、遺産分割協議書は完成します。
協議分割ができない場合
遺産分割の協議が、相続人の間でまとまらない場合は、家庭裁判所に申し立て、調停または審判で分割することになります。
遺留分
被相続人が、兄弟姉妹以外の相続人に、残すべき最少限度の財産を、遺留分といいます。遺留分は、直系尊属だけが相続人の場合には、相続財産の3分の1、その他の場合には、相続財産の2分の1となっています。なお、一定の取引相場のない株式等については遺留分の特例があります。
相続税のかかる財産と債務
相続税のかかる財産には、本来の相続財産と、みなし相続財産があります。これら財産のうち、一定のものを非課税財産として、相続税の課税対象から除きます。
本来の相続財産
相続税がかかる財産は、まず被相続人から相続や遺贈(遺言による財産承継) により取得した財産です。 ここでいう財産とは、金銭に見積もることができる経済的価値があるすべてのものをいいます。例えば、土地、家屋、立木、事業用財産、有価証券、家庭用財産、貴金属、宝石、書画骨董、預貯金、現金などです。不動産について登記されていないものでも、本来の相続財産となります。
みなし相続財産
みなし相続財産は、被相続人が死亡したときに所有していた財産ではありませんが、相続税の計算上、相続財産とみなして相続税を課税します。このみなし相続財産には、いくつかの種類があります。そのなかでもよくある財産は次の種類です。
- 生命保険金
- 被相続人が自分を被保険者にして生命保険をかけていた場合、保険金受取人となっている人は、保険会社から保険金をもらいます。この保険金は被相続人の財産ではありませんが、被相続人が保険会社に保険料を負担していたから保険金が支払われたものです。そこで、この生命保険金を被相続人の財産とみなして相続税の課税対象としています。
- 死亡退職金
- 遺族が被相続人の生前勤務していた会社から死亡退職により、退職金を支給されることがあります。この退職金は、被相続人が生きていれば、本人が会社から直接支給されたものです。そこで、この死亡退職金を被相続人の財産とみなして相続税の課税対象としています。相続税が課税される死亡退職金は、被相続人の死亡後3年以内に支給することが決まったものであり、3年を超えて支給が確定したものは、所得税の課税対象になります。
非課税財産
本来の相続財産やみなし相続財産は、原則としてすべて相続税の課税対象となります。しかし、それらの財産のなかには、社会政策的な見地、国民感情などから相続税の課税対象とすることが適当ではない財産もあります。そこで、いくつかの財産を相続税の非課税財産とし、相続税の課税対象から除いています。
- 墓地、仏壇、仏具など
- 墓地、仏壇、仏具などは、日常礼拝の対象となっているものであり、国民感情等の観点から、相続税の非課税財産としています。
- 生命保険金の非課税枠
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被相続人の死亡により、相続人が生命保険金を取得した場合には、非課税枠までの金額について相続税の課税対象から除いています。
- 非課税枠 = 500万円 × 法定相続人の数
この法定相続人の数のなかに、被相続人の養子がいる場合には、養子の数をカウントします。
- 実子がいるとき、1人まで
- 実子がいないとき、2人まで
なお、法定相続人とは、相続の放棄があった場合にも、その放棄がなかったものとした場合の相続人をいいます。
- 死亡退職金の非課税枠
- 生命保険金の非課税枠とは別枠で、死亡退職金の非課税枠を設けています。生命保険金の非課税枠と同じです。
- 相続財産の寄付
- 相続などにより取得した財産の全部、または一部を、相続税の申告期限(被相続人の死亡後10力月以内)までに、国、都道府県、市町村または日本赤十字社、学校法人、社会福祉法人などの特定の公益法人に寄付した場合、その寄付した財産は、相続税の課税対象から除かれます。相続税は正味財産に対して課せられるものであり、不動産や預貯金などのプラスの財産 から、借入金や未払税金などのマイナスの財産を控除して相続税を計算します。
債務控除について
相続税は、正味財産に対して課されるものであるため、被相続人が残した借入金などのマイナスの財産は、相続財産から差し引きます。債務として相続財産から差し引くことができるものは、被相続人の死亡時点で支払うことが確定しているものに限ります。
- 控除できるもの
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- 銀行借入金
- 不動産などを買ったときの未払金
- 入院費などの未払医療費
- 所得税、住民税、固定資産税などの未払税金
- 個人事業を行っていた場合の事業上の債務
- 控除できないもの
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- 香典返しの費用
- 墓碑などの買入費や借入料
- 法要費用
- 遺言執行費用
- 死体の解剖に要した費用
生前贈与財産の加算について
相続などにより財産を取得した人が、被相続人の死亡前3年以内に、被相続人から生前に贈与されていた場合には、その贈与財産を、相続財産に加えて相続税の計算をします。これは、あくまでも相続などにより財産を取得した人だけの取扱いです。例えば、相続人が妻と長男の2人で、遺言書もなく、その2人が遺産のすべてを取得している場合において、被相続人の死亡前3年以内に、孫が被相続人から財産を贈与されていたとしても、その孫が取得した贈与財産は、相続財産に加えることはありません。なお、相続時精算課税制度を選択している場合には、同制度選択後の贈与財産については、3年以内にかかわらず、全て加算(贈与時の時価)されます。相続財産に加える贈与財産の価額は、その贈与を受けたときの価額です。また、贈与について配偶者の特例の適用を受けているときは、贈与税の配偶者控除を受けた部分については相続財産には加えません。
相続税の課税価格の計算
相続税の課税価格とは、相続税のかかる財産から債務を控除した金額のことをいいます。相続した財産はもちろんですが、遺贈によって取得した場合を含めて、各人の課税価格を計算します。各人の課税価格を合計して「課税価格の合計額」を計算します。
- 課税価格 = 本来の相続財産 + みなし相続財産 - 非課税財産 - 債務財産 + 生前贈与財産
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続税の計算
相続税の課税価格合計額が、基礎控除額を超えた場合に、相続税がかかります。相続税は、まず全体でいくらになるのかを計算し、その後、財産取得者ごとに納付税額を計算します。
相続税の課税対象について
各財産取得者ごとに計算した課税価格を合計し、その金額(課税価格合計額)が基礎控除額以下のときは、相続税はかかりません。課税価格合計額が基礎控除額を超える場合には、相続税がかかります。
- 基礎控除額 = 5,000万円 + 1,000万円 × 法定相続人の数
基礎控除額の算式の「法定相続人の数」とは、相続の放棄があった場合にも、その放棄がなかったものとした場合の相続人の数です。この相続人の数のなかに、被相続人の養子がいる場合には、養子の数を数えます。
- 実子がいるとき、1人まで
- 実子がいないとき、2人まで
相続税の総額
相続税の総額は、相続などにより財産を取得した人全員で負担する合計税額です。課税価格合計額から基礎控除額を差し引き課税遺産総額を求め、その課税遺産総額を法定相続人が法定相続分どおりに分けたと仮定して各人の税金を計算し、それを合計した金額が、相続税の総額となります。ここでいう相続人や相続分とは、生命保険金の非課税枠や、基礎控除額と同様に相続の養子の取扱いを考慮したものです。
各財産取得者の納付税額
- 各人の相続税額
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相続税の総額を、各財産取得者に対して、その取得した財産の割合に応じて配分します。
- 各人の相続税額 = 相続税の総額 × 各人の課税価格 / 課税価格合計額
- 相続税額の加算・減算
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各人の相続税額に、相続税の納税者ごとの個別事情などを考慮し、相続税額の加算・減算をして、税務署に納める相続税額が決まります。
- ●相続税の2割加算
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被相続人の配偶者、子供(代襲相続人を含む)、父母以外の人は相続税を20%割増で納めます。なお、平成15年度の税制改正により、被相続人の養子となった被相続人の孫(代襲相続人を除く)も、20%割増の対象に追加されました。
- ●贈与税額控除
-
相続開始前3年以内の生前贈与財産を、相続財産に加算された人について、その贈与財産に、贈与税が課税されているときは、その課税された贈与税を相続税の計算上控除します。なお、「相続時精算課税制」度を選択した場合には、取扱いが違います。
- ●配偶者の特例
-
被相続人の配偶者は、実際の取得額が以下の金額のいずれか多い金額までは相続財産を取得しても相続税が課されません。
- 課税価格合計額×配偶者の法定相続分
- 1億6,000万円
この特例では、たとえ配偶者の税金が0でも、相続税の申告をしなければなりません。また、相続税の申告期限までに、配偶者の取得する財産が決まっていない場合には、配偶者もいったん相続税を納めることになります。ただし、相続税の申告期限から3年以内に、配偶者の取得する財産が決まった場合この特例を受けて納めた相続税を返してもらうことができます。
- ●未成年者控除
-
法定相続人である未成年者は、以下の額が相続税から控除されます。
- 6万円 ×( 20歳 - 未成年者の年齢)
- ●障害者控除
-
法定相続人である障害者は、以下の額が相続税から控除されます。
- 6万円( 特別障害者は12万円 )×( 85歳 - 障害者の年齢)
- ●相次相続控除
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被相続人の死亡前10年以内に開始した相続により、今回の被相続人が財産を取得して相続税を納めている場合には、その相続税のうち、一定の金額を今回の相続税から控除します。
- ●外国税額控除
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相続などにより外国にある財産を取得した人で、その外国にある財産について、外国の相続税に相当する税金が課されている場合には、その金額を日本の相続税から控除します。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続税の納税(延納)
相続税の納税は、納付期限までに現金で一時に納付するのが原則です。しかし、現金一時納付が困難な場合には、一定の要件のもとに、延納制度があります。
適用要件について
延納制度は、相続税を分割により納付する方法で、以下の要件を満たした場合に、認められる制度です。
- 納付額が10万円を超えること
- 納期限までに現金一時納付が困難であること
- 担保を提供すること
(ただし、延納税額が50万円未満で、かつ延納期間が3年以下の場合は不要) - 納期限までに延納申請書を提出すること
延納期間と利子税について
延納が認められた場合には、その納税者の取得した相続財産のうち、不動産等の占める割合により、延納期間が決まっています。また、相続税を分割払いすることによる利息相当額として、利子税を相続税と合わせて納付することになります。
- ●課税相続財産のうち、不動産等の占める割合:75%以上
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- 不動産等の価額に対応する税額
延納期間(最高):20年、利子税(年利):3.6% - その他の財産の価額に対応する税額
延納期間(最高):10年、利子税(年利):5.4%
- 不動産等の価額に対応する税額
- ●課税相続財産のうち、不動産等の占める割合:50%以上75%未満
-
- 不動産等の価額に対応する税額
延納期間(最高):15年、利子税(年利):3.6% - その他の財産の価額に対応する税額
延納期間(最高):10年、利子税(年利):5.4%
- 不動産等の価額に対応する税額
- ●課税相続財産のうち、不動産等の占める割合:50%未満
-
- 一般の延納相続税額
延納期間(最高):5年、利子税(年利):6.0%
※日本銀行が定める基準割引率が3.3%未満の場合、利子税の割合の特例が適用さます。
利子税率 = 通常の利子税(年利)×((基準割引率+年4%)/年7.3%)
- 一般の延納相続税額
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続税の納税(物納)
相続税を延納制度を利用しても、現金で納付することが困難な場合、一定の要件のもと、物納制度があります。
物納が認められる場合
物納制度は、相続した財産で相続税を納付する方法であり、以下の要件を満たした場合に認められる制度です。
- 納付期限までに、現金納付、および延納によっても現金で納付することが困難であること
- 納期限までに、物納申請書、登記事項証明書、測量図、境界確認書などを提出すること
※平成18年4月1日より、資力の状況変化等により、延納による納付が困難となった場合には、申告期限から10年以内に限り、物納へ切り替えることができます。
物納できる財産について
物納できる財産は、納税者が相続などにより取得した財産で、日本国内にあるもののうち、特定の財産に限られています。また、物納できる財産の中でも、優先順位があります。
- 第1順位:国債、地力債、不動産、船舶
- 第2順位:社債、株式、証券投資信託、または貸付信託の受益証券
- 第3順位:動産
これらの財産でも、質権、抵当権その他の担保権の目的となっている財産や、所有権の帰属などについて係争中の財産など、国が管理処分するのに不適当な財産は物納が認められません。
物納財産の収納価額について
物納財産の収納価額(国が引き取る価額)は、原則として相続税の申告書に記載された価額(相続税評価額)です。ただし、物納財産が国に収納されるまでに財産の状況に著しい変化があった場合には、収納価額の見直しが行われ収納時の現況により収納価額が決められます。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
相続と遺言
推定される相続人が複数いて、財産の分割が難しい場合は、元気なうちに遺言を書くほうがようと思われます。遺言にはいくつか種類ありますが、専門家である公証人に作成してもらう公正証書遺言がよいと思われます。
遺言について
推定される相続人が配偶者と子供1人というような場合には、遺産分割でトラブルになるということはあまりありませんが、子供が2人以上いて、それなりの財産がある場合には、元気なうちに遺言を書いておくことをおすすめします。
兄弟が弁護士を入れて裁判をするという場合があります。「遺言があれば、違った結果になったのに・・・」ということがよくあります。「相続」が「争族」にならないようにしたいものです。遺言があれば、遺言に従って分割する、または遺言をベースに相続人の協議により分割することができます。
- 法定相続人以外の人に財産を遺贈したいとき
- 遺言書を書いていない場合には、相続財産が法定相続人以外の人に渡りません。例えば、息子の嫁、娘婿、内縁の妻に財産を渡したくても、法律上は相続人にならず、遺言がないと財産を渡せません。相続人がいない場合には、遺言がないと国のものになってしまいます。
- 特定の相続人に、特定の相続財産を渡したいとき
- 例えば、配偶者に自宅を渡したい、同族会社の株を会社の代表取締役である長男に渡したい、アパートは長女と次女に渡したいというような場合には、遺言に書いておきます。
- 特定の相続人の相続分を、他の相続人よりも多くしたい、少なくしたいとき
- 例えば、長男は家を継いで親の面倒をよくみてくれたから余分に財産を渡したい長、女は独身で病弱だから余分に財産を渡したい、というような場合には、遺言に書いておきます。また、子供や父母がいない夫婦の夫が、マイホームのロ-ン返済がやっと終わったというときに、遺言をしないで亡くなった場合には、夫の兄弟姉妹に4分の1の相続分を要求されることも考えられますので、遺言を書いたほうがよいと思われます。
遺言の種類について
遺言は、大きく分けて、普通方式の遺言と特別方式の遺言があります。特別方式の遺言は、死亡が危急に迫っているなどの普通方式の遺言ができない場合の遺言です。普通方式の遺言には、3種類あります。遺言には法律的に厳格な要件が定められており、国の公的機関であり専門家である公証人に作成・保管してもらう、公正証書遺言ですることをおすすめします。
- 普通遺言の種類
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- ●自筆証書遺言
- 遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自筆で書き押印します。この方式は手軽に書けるという利点がありますが、その半面、遺言作成の厳格な要件を満たしてないために法律的に無効となる可能性があります。
- ●公正証書遺言
- 遺言者が、公証人に遺言の内容を口授して作成してもらい、署名押印して、公証人役場に原本を保管してもらいます。この方式は、費用がかかり、証人2人以上が立ち会うため、内容を秘密にできませんが、専門家が作成し保管するため正確で安心です。
- ●秘密証書遺言
- 遺言者が、自筆証書遺言と同じような方式で、遺言書を書き封筒に入れ封印し、公証人に証明してもらいます。自筆、作成日の記載は必要はないですが、なるべく自筆証書遺言の要件も満たすほうがいいでしょう。この方式は遺言の内容を秘密にしたまま確実な保管ができます。
贈与の活用
生前贈与は、できるだけ多くの子息に、長期間にわたって行うことで、節税額が大きくなります。
生前贈与の活用
相続税と贈与税とでは、一般的に贈与税のほうが税率が高いといわれています。しかし、贈与は計画的に、何人でも、何度でもできますので、うまく活用すれば相続税よりも少ない税金で次の世代に財産を移すことができます。例えば、夫が亡くなり(一次相続)相続人が配偶者と子供2人で課税財産が5億円の場合には、配偶者が2分の1を相続すると納める相続税は、5,850万円になり、配偶者の相続(二次相続)のときに納める相続税は4,000万円で、合計すると 9,850万円になります。
この条件で2人に「110万円」ずつ10年間贈与した場合、「250万円」ずつ10年間贈与した場合の節税額計算です。
- ●子供2人に「110万円」ずつ10年間贈与した場合
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- 110万円 にかかる贈与税は 0円 ですので、10年間に納める贈与税は 0円です。
- 当初5億円の課税財産が 4億7,800万円(3年以内の贈与はないものとする)となります。
・5億円 -( 110万円 × 2人 × 10年間 )= 4億7,800万円 - 一次相続で配偶者が2分の1を相続すると,納める相続税は 5,415万円 になり二次相続で納める相続税は3,670万円で、合計すると 9,085万円 となります。
- 納める贈与税・相続税の合計は 9,085万円 となります。
- 税金の負担軽減額は765万円になります。
・贈与前9,850万円-贈与後9085万円=765万円
- ●子供2人に「250万円」ずつ10年間贈与した場合
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- 250万円にかかる贈与税は14万円です。10年間に納める贈与税は 280万円 となります。
・( 14万円 × 2人 ) × 10年間 = 280万円 - 当初5億円の課税財産が4億5,000万円(3年以内の贈与はないものとする)となります。
・5億円 - ( 250万円 × 2人 × 10年間 ) = 4億5,000万円 - 一次相続で、配偶者が2分の1を相続すると、納める相続税は、4,925万円で、二次相続で納める相続税は、3,250万円で、合計すると 8,175万円 となります。
- 納める贈与税・相続税の合計は 8,455万円 となります。
・贈与税 280万円 + 相続税 8,175万円 = 8,455万円 - 税金の負担軽減額は 1,395万円 となります。
・贈与前 9,850万円 - 贈与後 8,455万円 = 1,395万円
- 250万円にかかる贈与税は14万円です。10年間に納める贈与税は 280万円 となります。
注意点
贈与税は、贈与金額がふえると急カーブで高くなります。
贈与は「長期間にわたって」「数多くの相手に行う」ことにより、税金が安くすみます。しかし、90歳を超えた大資産家が、2人の子供に110万円ずつ贈与しても、いくらも節税になりません。相続税の税率と贈与税の税率を比較検討しながら、早くから計画的に行うことが大切です。ところで、配偶者に贈与するよりは、次の世代や孫に贈与したほうが税金の計算上は有利です。配偶者は同世代でしょうから、また配偶者の相続のときに相続税の対象となってしまいます。また、あとで税務トラブルとならないように、土地、株式等の場合にはきちんと名義を換え、金銭での贈与の場合には、贈与を受ける人の預金通帳へ振り込み、通帳と印鑑は渡しておきます。
なお、相続開始前3年以内の贈与は、相続税の計算に組み込まれます。また、連年贈与にも注意が必要です。相続時精算課税制度を選択した場合には、3年以内の贈与に限らず相続財産に組み込まれますので、前述の節税効果はありません。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
生命保険の活用
死亡保険金の非課税枠を有効に使います。生命保険は、契約内容をきちんと理解し、ご自身の合った生命保険に加入することが大切です。生命保険の死亡保険金は、現金で受け取れますので、遺族の生活保障のほかに、遺産分割の調整に使うことができます。
生命保険の効果
- 生活の保障について
- 生命保険は、一家の大黒柱を失った遺族の生活の保障となります。残された配偶者が子供を抱えて働きに出るのは大変です。小さな子供がいる場合には、教育費も考えておく必要があります。生活の保障のために生命保険に加入するという場合には、例えば子供が大学を卒業するまでの教育費、生活費、配偶者の生涯の生活費などを計算します。また、子供が大きくなると、その必要額は年々減ることになります。生活の保障という意味では、積立預金をしておくのもよいのですが、昨今の金利状況では、預金残高の増加を望むことは困難となっています。その点、生命保険には保障が付きます。
- 非課税枠の活用
- 相続財産として生命保険金を受け取った場合には、(法定相続人 × 500万円 )の非課税限度額があります。つまり相続人が配偶者と子供2人であれば、1,500万円までは非課税です。
- 納税財源、分割の調整
- 生命保険金は、相続税の納税資金に活用することができます。なお、納税資金用の為に生命保険へ加入する場合には、保障が一生涯続く終身保険になります。定期的に相続税額の概算を出し納税の検討をします。また、生命保険は遺産分割の調整として活用することができます。例えば、兄弟で2分の1ずつ遺産を分割しようと思っても、相続財産は色んな種類で多くありますので、なかなかうまく分割できないことがあります。そんな中、生命保険金は現金で受け取れますので、その調整に使うことができます。
生命保険と税金
生命保険金を受け取った場合には、保険料の負担者(契約者)と被保険者、受取人との関係から、それぞれに税金がかかります。
- 保険料負担者と被保険者が同じ場合
- 被保険者が保険料を負担する保険です。例えば、夫が死亡したら、遺族に保険金が支払われる保険に加入して、夫が保険料を支払うというものです。この場合、遺族が受け取った保険金は、相続財産とみなされて相続税の対象になります。
※「法定相続人 × 500万円」の非課税限度額があります。
生命保険金を指定受取人以外が受け取ると、指定受取人が保険金を実際の受取人に贈与したものとされます。 - 上記以外
- 保険金の受取人以外の人が保険料を負担している保険です。例えば、夫が死亡したら、子供に保険金が支払われる保険に加入して、妻が保険料を支払うというものです。この場合には、子供が受け取った保険金は、贈与税の対象になります。
※本記載は、平成23年6月現在の税制に基づく一般的な取扱について記載しています。
税務上の取扱が税制改正などで変更となることがありますので、ご注意ください。
また、個別の取扱等につきましては、所轄の税務署等にご相談ください。
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